天牛(紙切り虫)

私が関心のある、気に入った、「新聞」・「メルマガ」等のニュースをまとめて紹介します。「コメント」は歓迎ですが、「公開」の前に、判断をさせていただきます。

カテゴリ: リモート/ワーク・教育・診療関係

36Kr JAPAN

2020918

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オンライン医療サービスプラットフォーム「春雨医生(Chunyu Doctor)」を運営する「春雨天下軟件」が、シリーズEで数千万元(数億円)を調達した。リード・インベスターは「捜狗科技(Sogou Technology)」、コ・インベスターは「華新投資(InnoVision Capital)」「華錦基金(Huajin Fund)」。今回の資金調達は同社にとって7度目となる。

 

資金は、創業者の張鋭氏が2015年に提唱した「五芒星モデル」の実践に充てられる。五芒星モデルとは、「医師、患者、病院、医薬品および医療機器、保険」の5つのエンドポイントを連携させ、同プラットフォームを、医師と患者をつなぐものから、医療サービスエコシステム(医療、医薬品、保険など)を互いに結ぶものへと変容させることを企図したモデルである。

 

春雨医生によると、20208月時点で、プラットフォームには中国の医師63万人以上が参加しており、あらゆる診療分野を網羅している。登録ユーザー数は累計で13000万人を超え、相談件数のピーク値は1日あたり30万回を上回っているという。 また同プラットフォームには、バイドゥ(百度)、ファーウェイ(華為科技)、保険会社の「泰康(Taikang)」や「中英人寿保険(Aviva-Cofco)」など、700以上のパートナーからもアクセス可能である。

 

 から「オンライン朝礼」が不可欠

PRESIDENT Online (長尾 一洋 NIコンサルティング代表)

2020/9/18

 

テレワークが前提となり、オフィスで顔を合わせる機会は減ってしまった。そのとき部下をマネジメントすればいいのか。コンサルタントの長尾一洋氏は「部下のメンタルケアにはこれまで以上に気を使わなければならない。特に『3つのS』を意識してほしい」と説く——

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写真はイメージです

 


適度な距離感や関係性をどうつくっていけばいいのか

テレワークという働き方が定着し、営業活動もオンラインで行うようになると、当然ですが上司と部下が顔を合わせる機会や時間は大幅に減少します。「会えない」「働いている様子が見えない」状況の中で、「部下とどのように接すればいいのか」「適度な距離感や関係性をどうつくっていけばいいのか」と悩む管理職の方は多いことと思います。

テレワーク時代の部下指導においては、3つの「S」を意識してください。

See(見る/見守る/見える化する)
Stroke
(存在を認める/働きかける)
Suggest
(提案する/フィードフォワード)

 

See」が見守るという意味を含んでいることにご注意ください。上司が部下を見るときは、どうしても「監視」しようとしがちですが、そうではなく、まるで幼い子に対するが如く「愛」をもって見守ることが大切です。会えないことで、部下の気持ちは見えにくくなります。それをきちんとしっかり見つめる。関心を持つ。管理や監視や干渉ではなく「見守る」姿勢が求められます。

リアルでの付き合い以上に丁寧な働きかけが不可欠

Stroke」という言葉は、カナダ出身の精神科医エリック・バーンが提唱した「交流分析」という心理学パーソナリティ理論の1つで、「人の存在や価値を認める働きかけ」のことです。

「がんばっているね」「君に頼んでよかった」と心の中で思うだけではなく、相手に伝えるための働きかけがストロークです。テレワークの生活が続くと、外部との交流が少なくなって孤独感や疎外感をつのらせて、それが大きなストレスになってしまうこともあるでしょう。オンライン上では「阿吽(あうん)の呼吸」も通じにくいようです。リアルでの付き合い以上に丁寧な働きかけが、円滑なコミュニケーションのためには欠かせません。

Suggest」は提案、つまり未来に向かっての声かけです。「こうしたらいいんじゃないか」「こんなふうに考えたら解決できるのでは?」という前向きなもので、意識したいのは「フィードフォワード」です。フィードバックが、すでに行われたことに対しての反省や叱責になりがちなのに比べて、フィードフォワードは未来に向けて今打つべき手を提案するものです。部下の行動の変化を促し、よりよい結果につなげていくことができます。

「コンタクトレス・ロープレ」をやってみよう

非常に効果的な部下指導のメソッドとして、ぜひお勧めしたいのが「コンタクトレス・ロープレ(ロールプレイング)」です。テレワークが進み、上司と部下、先輩と後輩が顔を合わせる時間はますます減っていくでしょう。身近な人からちょっとした説明のコツを学んだり、クロージングのテクニックを盗んだりするような機会もなくなってしまいます。

その穴を埋めるのが、コンタクトレス・ロープレです。営業部隊のいる会社では、以前は当り前のように行われていたロープレですが、最近は研修に取り入れるところも減ってしまいました。しかしロープレは、営業力アップに非常に効果があります。コンタクトレス(=非接触)での研修として、この機会にぜひ取り入れていただきたいと思います。

マンツーマンでもいいのですが、より効果的なのはグループ・ロープレです。上司や先輩1人と現場の営業担当者34人で1グループをつくります。最初は、上司(先輩)が顧客役、部下(後輩)が営業担当者として商談を行います。他の参加者はその様子を見学します。

一通りの商談が終わったら、見学していた人は気づいたことや感想を発表します。「表情が固かったよ」「説明がわかりにくいところがあった」など、思ったことを率直に伝えます。次は、営業担当者をチェンジして、順に同じように繰り返します。

「わかってるつもり」を解消できる

上司から一方的に「上から」指導されるよりも、同僚・仲間という目線からのアドバイスの方が受け入れやすいものです。また、自分が第三者として意見を述べる立場を経験することで新たな視点を得ることもできます。

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               長尾一洋『コンタクトレス・アプローチ テレワーク時代の営業の強化書』(KADOKAWA

 

さらに、コンタクトレスでパソコンを通じて行うロープレのメリットとして「録画できる」ということがあります。自分自身の口ぐせや態度は、客観的に見ない限り案外気づかないものです。他人から指摘されたら反発してしまいますが、録画で確認すれば「納得!」となります。

「わかってはいるんだけど、できないんだよね」「やってるつもりだけど、結果が伴わない」。そういう悩みを抱えている人は多いと思いますが、頭でわかっていても行動できていなかったら、わかっていることにはなりません。「知る」「行う」「結果が伴う」の「知行果」を一致させるためにも、コンタクトレス・ロープレが役に立ってくれるでしょう。

じっと見つめられているのがプレッシャーでリアルなロープレに苦手意識をもっていた人も、コンタクトレスでならそれほどの圧迫感を感じずに、メリットだけを享受することができるはずです。


顔色が見えない中で部下のメンタルをどうケアするか

テレワーク時代のマネジメントを考えるうえで、管理する側として、これまで以上に注意を払いたいのが部下のメンタルケアです。

毎日顔を合わせていれば、「今日は『おはよう』の声にいつもの元気がなかったな」「暗い顔をしているけれど、何かトラブルがあったのかな」というふうに、日々の変化をキャッチして「異常シグナル」が自然とアンテナにひっかかります。声をかけて昼食に誘ったり、別室でゆっくり話を聞いたりすることで早めの対処ができます。

ところが、テレワークでは、それができません。だからと言って、たとえばLINEやチャットなどで雑談をしてコミュニケーションをとるというのも、就業時間を使ってやるには無駄な時間が増えて本末転倒のような気もします。

オンライン朝礼で一日のリズムをつくる

そこでお勧めしたいのが、オンライン朝礼、または夕礼です。チームの中に新入社員や転職・他部署から異動してきたばかりといったメンバーがいる場合には特にやってみるといいでしょう。

オンライン朝礼(または夕礼)というのは、毎日決まった時間にオンライン上に集まって、コンタクトレスで朝礼(夕礼)を行うということです。時間は10分から15分程度で十分でしょう。仕事の報告を詳しく行うというよりは、チーム全員が顔を見せ合って「おはよう」や「おつかれさま」を言い合うことが主な目的です。連帯感が生まれて、仕事や会社に慣れない新人には心のよりどころになり得ると思います。何より、決まった時間に実施することで1日のリズムにメリハリができて、行動計画を立てるうえでの指標にもなります。

気軽な情報交換の場として活用する

さらに言えば、テレワークでは、どうしても先輩や同僚のノウハウを学ぶ機会が少なくなります。わざわざ相談するほどのことではないけれど参考にしたいこと、ちょっと聞いてみたいことや教えてもらいたいことは、日々の業務の中でたくさん出てきます。そういう情報を気軽に交換する場としても、オンライン朝礼や夕礼をうまく活用するといいでしょう。

テレワーク時代になったからといって、上司と部下の在り方がガラリと変わってしまうわけではありません。ただ、これまで当たり前だった「毎日、顔を合わせる」ことがなくなったわけですから、その欠けた部分を埋めるための多少の工夫や新たな努力は必要です。さらに一歩進んで、テレワークという環境を活かしたより効率的なマネジメント術を確立していきたいものです。

 

 

AERAdot.(高橋有紀)

20200906

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ディーシーティーデザインでは作業用のパソコンとは別にタブレットを用意し、9時から18時までスカイプで3人の映像をつないでいる(写真:ディーシーティーデザイン提供)

 

 テレワークの普及に伴い、メリットのみならずデメリットも見えてきた。同僚とのコミュニケーションのとりづらさやメールやチャットのテキストメッセージの難しさなどだ。AERA 202097日号は、各社の取り組み事例や専門家の意見を紹介する。

 

 コミュニケーションの減少も、テレワークの弊害の一つだ。KDDIが今年4月に実施した実態調査によれば、テレワークのデメリット第1位が「同僚との何気ないコミュニケーションがとりづらい」だった。

「無駄話も含め、会社に行けば誰やかれやと話すことになる。この会話から、仕事の解決策が見いだせたり、愚痴を言ったりと、ガス抜きができていたことに気づいた。無駄話や愚痴はメールやTeamsで言うことでもないし……」(40代・女性・会社員)

 こうしたコミュニケーション不足を補うため、独自の工夫をしている会社もある。 ウェブサイトの制作などを行うディーシーティーデザインは、青森県にあるデザイン会社。コロナ以前の3年前から完全リモートで業務を遂行してきた。理由は「雇いたい人が住んでいた場所が遠かったから」(代表の蝦名晶子さん)。それでも社内コミュニケーションは良好だ。

 蝦名さんが取り入れたのは、就業時間中のビデオ通話の常時接続だった。画面の向こうで犬が吠えたり、子どもが乱入したり、まさに「アットホーム」な雰囲気で仕事が進む。仕事の新規契約が取れれば画面越しにハイタッチ。15時になったらラジオ体操をすることもある。

 テレワーク中、従業員を監視したいという企業も増えているというが、この会社の場合、目的は監視ではなく、あくまでコミュニケーションのハードルを下げることだという。

「質問もチャットだとわかりにくいですが、これなら声をかけてもらえばすぐ答えられます」(蝦名さん)

 企業向けハラスメント対策のコンサルティング会社クオレ・シー・キューブでは、社内ツールとして使っているマイクロソフトTeams(チームズ)内に、無駄話用のチャネルを立ち上げた。旗振り役となった営業職の高橋明子さんは言う。

「今年2月、オフィスが広くなって机と机の距離が空き、雑談がしにくくなったんです。そこで同僚3人で『積極的立ち話』活動を始めたのが最初のきっかけです」

 気が向いたタイミングで誰からともなく窓際付近に集まり、コーヒーを飲みながら立ち話するだけ。これがリフレッシュを兼ねて職場内の情報共有の場になると好評で、3月以降に始まったテレワーク下でも同じような機能を持つ場が作れないかと考えた。

「普段はチャットで雑談しますが、毎月3のつく日の午後3時には、チャネル内にビデオ会議室を開きます。ビデオ通話のほうがよりリアルな雑談に近いですから」

 4人ぐらいがポツリポツリと現れ、30分ほどしたら三々五々仕事へと戻る。「雷すごいね」とたわいもない話で終わるときもあれば、「広報でこんな企画したいんだけど、どう思う?」と部署を超えた相談が交わされることもある。

「椅子をくるっと回して後ろを振り返れば誰かと話せる、それと同じような、もしくはそれ以上のコミュニケーションの量と質をオンラインでも担保したい」(高橋さん)

 後々は、部門間を横断的につなぐナレッジ共有の場になればと期待を寄せる。

 最後は、テレワークで急増するメールやチャットに関する悩みだ。

「言い回しにカチンときても、発せられた声ならすぐに消えてしまいますが、メールやチャットは文字として残るので何度も読み返してしまって、モヤモヤが残る」(40代女性、会社員)

 メールやチャットでニュアンスが伝わらずにトラブルになる例は昔からあるが、テレワークで顔を合わせる機会が減った今、文面にはさらに気を配る必要がある。

 副詞の使い方に気を付けて、とアドバイスするのは『リモートワークの日本語』の著書がある国立国語研究所の石黒圭教授だ。読んだ相手がカチンとくるような書き手の自己中心的な気持ちは、副詞に表れやすいという。

「副詞は決して添え物ではなく、書き手の先入観が表れます」

 

 例えば、「せいぜい一言でお願いします」「確認は当然お願いします」の「せいぜい」「当然」という副詞には、上から目線や優越感がにじみ出る。

 一方で「わざわざありがとうございます」「せっかくのお誘いなのに申し訳ありません」「ぜひご一緒したい」といった副詞は、相手に対する配慮を伝えられる。「やっぱり」「確かに」「もちろん」など、副詞にはいろいろあるが、どんな文脈でどんな副詞を選ぶか、書き手の力量が試される。

「文書を通じて情報だけでなく、人柄や内面もやり取りしているという意識を持つことが大切です」(石黒教授)

 チャットで無用な軋轢を生まないためには、オンライン会議と同様に、社内ルールを定めておくのが望ましい。ビジネス版のLINELINE WORKS(ラインワークス)」を提供するワークスモバイルジャパンが行った調査によれば、50代の上司世代はチャットでは挨拶・署名は不要と考えている割合が高く、30代よりフランクで効率的なコミュニケーションに寛容なことがわかる。一方、上司が思う以上に部下は気を遣っている。

「チャットによる業務効率の向上を目指すには、挨拶不要、『了解しました』不要など、社内のルールを明文化するのがよいでしょう」(ワークスモバイルジャパン執行役員の萩原雅裕さん)
(編集部・高橋有紀)

AERA 202097日号より抜粋

AERAdot.(石臥薫子)

2020.8.27

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多くの受験生は夏以降、過去問の攻略に勤しむ。だが入試のあり方が変わっていけば、受験=過去問対策ではなくなるかもしれない(撮影/大野洋介)

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                                                   AERA 2020年8月31日号より

 

 大学受験に欠かせない模試も、コロナ禍にオンライン化が進んでいる。駿台予備学校と教育ベンチャー企業がタッグを組んだ。AERA 2020831日号は、オンラインならではの魅力を紹介する。

 

 会場で一斉に試験を受けるリスクは、受験本番だけでなく、前段階の模試のあり方も変えつつある。教育ベンチャーの「atama plus(アタマプラス)」と駿台予備学校を展開する駿河台学園は、7月末から8月初めにかけて、オンラインでの共通テスト模試を共同で開催。業界初の取り組みには28千人の受験生が参加した。

 期間中ならいつでも受験が可能で、試験を始めると時間がカウントされ、制限時間になると自動的に解答が回収される。紙での模試では結果が返ってくるまでに1カ月近くかかるのに対し、オンライン模試は受験後すぐに結果が出る。さらに、どこが理解できていないから問題が解けなかったのかをAI(人工知能)が瞬時に導き出し、おすすめの復習単元も表示する。

 オンライン模試に踏み切ったきっかけは、コロナ禍で大学校舎などの会場を借りられなくなったからだが、かねてから両者はAI教材を共同展開しており、テクノロジーを使った新しい形の模試を模索していたという。

「従来、駿台の模試は都市部に住む生徒が多く受験し、上位層向けのイメージが強かったが、オンライン化で地方の生徒の割合が2割強から3割に増えた」

 駿河台学園の山畔(やまくろ)清明専務理事はそう話し、受験層の広がりに期待を寄せる。

■データから学習の傾向把握
 これを機に両者はオンライン共通テスト模試を年3回に拡充。211月からは高12年生を対象に学力判定テストもオンラインで年6回実施する計画だ。いずれも21年度中は無料にして、浸透を図るという。アタマプラスの稲田大輔CEOが言う。

「そもそも特定の日に行う1回のテストで生徒の学力を正確に測るのは難しい。テクノロジーを活用すれば、学習の到達度や伸びを定期的に確認したり、データから学習の傾向を把握できるようになる。将来的には、入試に活用される可能性もある」

 模試や入試の風景は今後、大きく変わっていく。(編集部・石臥薫子)

AERA 2020831日号より抜粋

日経スタイル(編集委員 前田裕之)

2020/8/16

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                                 運休中の旅客機などが並ぶ成田空港(521日)=共同


新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、多人数が集まる会合やイベントの開催は依然、厳しい環境です。研究者が集まる学会や研究会の一部も中止や延期に追い込まれ、オンラインでの開催に切り替える動きが広がってきました。試行錯誤の中で利点と問題点が浮かび上がっています。

学会は、様々な大学や研究機関に属する研究者らが集まり、研究成果を発表したり、懇親を深めたりする場で、世界各地に存在します。例えば、日本の経済関連の学会では会員数が最大規模の日本経済学会は例年、春と秋に大会を開いています。会場は全国の大学で、大会ごとに場所を変えています。

今年5月の春季大会は当初、九州大学(福岡市)で開催する予定でしたが、急きょオンラインでの開催に切り替えました。参加者は各自のパソコン画面上でテーマ別の分科会に「入室」し、報告者と討論者の発表を視聴しました。質疑応答の時間もあり、分科会の流れは通常の学会と同じでした。

参加者の一人は「学会のために地方に出張するのはハードルが高かったが、オンラインになったので参加を決めた」と話します。「同時刻に開かれている複数の分科会の間を移動するハシゴがしやすかった」との声もあります。一方、「分科会の参加者の様子が分からず、発表者と聴衆が双方向で議論したという実感がわかない」(論文を発表した研究者)、「参加者の交流の場がなく、懇親会でのやり取りの中から新たな研究プロジェクトやアイデアが生まれるチャンスがない」といった指摘もありました。

日本金融学会、日本財政学会、行動経済学会といった学会も今秋以降、オンラインで開催する予定で、オンライン学会が標準になりつつあります。

学会以外でも、研究者がオンライン会議システムを活用する機会は増えています。神戸大学の小川進教授は「企業への聞き取り調査がオンラインで可能になり、出張の費用や時間をかなり節約できる。遠方に住んでいて、じっくりと意見交換できなかった研究仲間とオンラインで気軽に話し込むことも多くなった」と効用を実感しています。

東京大学の丸川知雄教授はオンラインで海外の研究者らと意見を交換できる便利さを感じている一方、研究対象の中国に出張できないのはつらいと率直に語ります。「地域研究を専門とする研究者にとって、現地の空気を肌で感じる機会は極めて重要だ」と考えているためです。通信技術の向上で改善できる問題と、そうではない問題を切り分けながら、研究の質を高める努力が求められます。

丸川知雄・東京大学教授「多いメリット、教育には課題も」

コロナ禍のもとで、オンラインでの研究・教育活動に積極的に取り組んでいる、東京大学の丸川知雄教授に、これまでの活動と研究への影響について聞きました。

――学会や研究会のオンライン化が加速しています。オンラインでどんな活動をしてきましたか。

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                                                                 丸川知雄・東京大学教授

 「私は現在、東京大学の部局を横断して現代中国に関する研究チームを組織する目的で発足した『東京大学現代中国研究拠点』の運営委員長を務めています。同研究拠点は36月、コロナショックや中国経済をテーマとするオンラインセミナーを計5回主催し、私も討論者や司会として参加しました。初回の開催日の2週間ほど前に企画し、簡単に宣伝しただけですが、毎回、200500人くらいが視聴しました、リアルなセミナーでは50100人程度の参加を見込んでいました。オンラインのほうが人を集めやすいといえます。私個人としては中国の団体が主催した講演会、日本、中国と韓国を結ぶクローズドな研究会、米ブルッキングス研究所主催のセミナー、欧米の研究者グループの定期的な研究会にも参加しました。学会もオンラインでの開催が一般的になりつつあるようです」

――オンライン会合のメリットは。

「なんといっても物理的な距離を超えられるのは大きいです。国際会議で海外に行くのはそれ自体が楽しみではありますが、国内の学会などのために日本中を行き来するのは大変だと感じていました。オンラインになって格段に内外の会合への参加や開催がしやすくなりました。先日はベネズエラの外務副大臣が報告する会議にも参加できました。混乱と貧困のベネズエラというイメージとは異なり、市民の自治組織が活躍していることについて報告がありました。必ずしもそれを真に受けたわけではありませんが、日本での報道だけでわかったつもりになっていいのだろうか、という疑問は持ちました。こうして、気軽に地球の裏側の人ともつながれるのはすごいことです」

――課題はありますか。

「通信量と速度の制約はあります。東大のセミナーでは大きなトラブルはありませんでしたが、中国と結んだある会合では、トラブル解決のためにかなりの時間を費やしました。大学でも話す人以外はビデオを切るように、共有する資料は最小限にするように通達されています。ネットワークの容量がもっと大きくて、より精細な画像を見たり、多くの情報をやり取りしたりできればいいと思います」

――コロナ禍で研究活動に影響は出ていますか。

「予定していた海外出張がすべてキャンセルになったのは、つらいところです。私の専門は中国経済で、地域の研究者として現地に行き、五感で感じてくることは重要だと思います。5月くらいからようやく中国から新聞が正常に届くようになりましたが、中国の新聞を通じてわかることには限界があります」

――コロナ禍の収束が見通せないなか、研究・教育拠点としての大学のあり方は変わるでしょうか。

「大学の教育が果たしてオンラインだけでいいのかということは、とりあえず1学期の授業を終えただけですので、正直なところよくわかりません。もともとの学生の勉学意欲による教育効果の差が、オンライン化によってますます大きくなるように思います。勉学意欲を欠く学生に対する勉強への動機づけが難しいと思います。研究に関しては、もともと『3密』とは無縁な環境でやっていますので、実はあまり変化がありません。私自身についていえば、コロナ以前は家で仕事をするときはなんとなく後ろめたさがありましたが、コロナ禍によってそういう感覚が払拭され、仕事の効率がかえって上がったような気がします」

 

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