NNA ASIA

2020/9/21

中国商務省は19日、国家の安全や中国企業の合法的な権益を損ねると判断した外国企業をリスト化し、輸出入や投資を制限する「ブラックリスト」規定を発表した。米国による「TikTok(ティックトック)」や「微信(ウィーチャット)」といった中国ITサービスへの規制強化への対抗措置とみられる。

商務省は、リスト入りの対象となる行為として国家主権や安全、発展に向けた利益に危害を及ぼすことや、正常な市場ルールに反して中国企業との正常な取引を中断したり、差別的な措置を適用したりして中国企業の合法的な権益を著しく損ねることとした。

リスト入りの判断基準は◇国家主権や安全、発展に向けた利益への危害の程度◇中国企業、組織、個人の合法的権益を損ねる行為の程度◇国際的な経済、貿易ルールに沿っているか◇その他の要素――となる。

リストの対象となるのは海外の企業、組織、個人で、制裁措置は◇輸出入活動の制限または禁止◇投資の制限または禁止◇関係者の入国の制限または禁止◇関係者の中国就労許可および滞在資格の制限または取り消し◇罰金◇その他の必要な措置――としている。

実際のリスト入りに向けては、商務省を中心とした中央政府の作業部門の判断のほか、企業などからの訴えにより調査を開始し、一定期間の審査を経て決定する。調査、審査の過程では対象外国企業に陳述の機会を与え、改善が見られればリスト入りを撤回することもある。調査の開始や決定など一連の情報は開示していく。新規定は即日施行された。

商務省は昨年5月31日、トランプ政権による通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を対象とした事実上の禁輸措置発動のタイミングで、ブラックリスト制度を導入する方針を示していた。同省高官はブラックリスト制度について当時、特定の国を対象とするものではなく深読みは不要と説明していた。ただ今回、米商務省が18日にティックトックとウィーチャットへの規制強化を発表していることから、中国の動きも米国への対抗措置の色合いが強いと言える。

■ティックトック制限は1週間延期

米商務省は18日、ティックトックとウィーチャットの米国向けのアプリストアからのダウンロードやアップデートを20日から禁止すると発表。1112日からはサーバー提供なども全面的に禁止するとしており、サービスが事実上利用できなくなる。またウィーチャットについては、9月20日から米国内での送金や決済サービスも停止する。

ただ同省は19日になり、ティックトックへの制限措置は発動時期を9月27日に1週間遅らせると発表した。背景にはティックトックを運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)の米国事業再編の進展がある。

中国新聞社電によると、バイトダンスは20日、米ソフトウエア大手オラクルと小売り大手ウォルマートとの提携案が基本的にまとまったと発表した。ティックトック事業本部は米国に残し、オラクルがデータ安全管理のパートナーとしてクラウドサービスを使ってデータを管理する。またオラクルとウォルマートは両社でバイトダンスに最大20%を出資する。バイトダンスは1年以内に米国で新規株式公開(IPO)を実施する計画も示した。

一方、ウィーチャットが米国でのサービスを継続できるめどは立っていない。ネットメディアの澎湃新聞によると、ウィーチャットを運営する騰訊控股(テンセント)は19日、米商務省によるサービス制限の発表を受けて「今後も米国政府との協議を継続し、長期的な(問題)解決手法を得られるようにしたい」とコメントしている。

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米カリフォルニア州にあるティックトック事業拠点=8月24日(新華社)