全米1000カ所超の小規模宅配拠点を計画

JBpress(小久保 重信)

2020.9.18

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                                     アリゾナ州にあるアマゾンの倉庫施設(写真:AP/アフロ)

 

 米アマゾン・ドット・コムが全米1000カ所の都市近郊に小規模の宅配拠点を設置する計画だと、米ブルームバーグが報じている。

狙いは当日配送の拡大

 現在、アマゾンの物流拠点の多くは都市近郊の外れにある。今後は、ショッピングモールや大規模小売店、自動車販売店、ファストフード店などがある郊外住宅地近くに拠点を設ける。ゆくゆくは約1500カ所に拡大し、配送の迅速化を図るという。

 今年2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でアマゾンの物流網は逼迫した。それ以前はプライム会員向けの標準配送サービスとして翌日配送の対象地域や商品の拡大に力を入れていた。

 しかし、巣ごもり消費の拡大でEC(電子商取引)需要が急増。同社は顧客に約束していた翌々日配送を実現できなくった。その後計175000人を臨時雇用するなどして体制を強化。現在はコロナ禍以前の状態に戻りつつあるものの、さらなるサービス向上を目指し、当日配送の拡大を図っている。

 米シーネットによると、アマゾンは現在、全米44の大都市圏で当日配送サービスや即時配達サービス「Prime Now」を提供している。

 

ウォルマートなどの競合、ECでアマゾンに攻勢

 こうした中、小売大手がEC分野でアマゾンに攻勢をかけている。例えば最大手の米ウォルマートは915日、米国で有料会員サービス「Walmart+(ウォルマートプラス)」を始めた。食料品や日用品、家電製品などを追加料金なしで配達するというもので、年会費98ドル(約1300円)と、アマゾンの「Prime」の同119ドル(約12500円)より低く抑えた。

 ウォルマートは、米宅配代行サービス大手のインスタカートと提携し、米国で当日配送サービスを始めるとも報じられている。まずカリフォルニア州のロサンゼルスやサンフランシスコなど計4都市で試験サービスを開始。最短1時間で配達し、アマゾンの会員制生鮮食品宅配サービス「Amazon Fresh」やPrime Nowに対抗する。

 

ウォルマートはカナダのECサービス業者ショッピファイとの提携も明らかにしている。ショッピファイの登録業者がウォルマートのECマーケットプレイスに出品できるというもので、同社は年内に1200社の参加を見込んでいる。

9月中に発送・仕分センターなど100施設新設

 ウォルマートやディスカウントストア大手の米ターゲットなどは、数千店もの自社店舗を拠点にしてEC事業を拡大している。

 ブルームバーグは、アマゾンが新たに設置する小規模宅配拠点は、これら競合の動きに対抗する狙いがあると報じている。例えば、アマゾンは最近、マサチューセッツ州の都市ホールヨークに物流拠点を設置した。これは、周辺住民も含めた60万人以上をカバーする物流拠点だという。

 アマゾンは先ごろ、米国とカナダの物流拠点で10万人を追加採用すると明らかにした。これに伴い9月中に発送・仕分センターや宅配ステーションなど計100施設を開設する予定だ。

 アマゾンの物流網拡大計画については、経営不振で閉鎖した百貨店の跡地を活用しようという動きも出ている。

 米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米ショッピングモール運営最大手のサイモン・プロパティー・グループとアマゾンはモール内百貨店の空きスペースの利用に関して協議中。

 アマゾンはこうした空間に「ミニ・フルフィルメントセンター(ミニ発送センター)」と呼ぶ物流施設を設置する可能性があると同紙は伝えている。