日本経済新聞 電子版証券部 井沢ひとみ

2020/9/18

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富士通(上)やNECなど旧「電電ファミリー」が東京株式市場で買われた

 
世論調査で菅内閣の高支持率が明らかになった18日、東京株式市場では「菅トレード」が広がった。2021年秋までに新設されると報じられたデジタル庁をめぐり、NTTデータ富士通NECといった旧「電電ファミリー」がそろって買われた。一方、携帯料金の値下げ圧力がかかるNTTドコモが年初来安値を更新。外国人投資家の一角は菅内閣が長期政権になる可能性を意識しているようだ。

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日本経済新聞社とテレビ東京の緊急世論調査では菅内閣の支持率は74%と、記録のある1987年以降では3番目の高さだった。この日は現物の寄り付き前から日経平均先物が買い優勢で、T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは「これまで『ワンポイント・リリーフ』という印象もあった菅首相に対する見方が変わり始めている」とみる。

前日の米ハイテク株安の流れでソフトバンクグループエムスリーなどが売られ、日経平均株価の午前の終値は前日比6円(0.03%)高の23326円と伸び悩んだ。一方で、NTTデータは5%高、富士通とNECはそれぞれ2%高と、かつて日本電信電話公社(現NTT)とのつながりで「電電ファミリー」と呼ばれた銘柄に買いが集まった。デジタル庁をめぐって官公庁向けシステム需要が高まる可能性があるからだ。

これまで中小型株が中心だった「菅トレード」が大型株を巻き込んで加速するかどうかは、外国人投資家の動向が左右しそうだ。外国人は7月まで日本株を売り越していたが、8月には米株高と46月期に景気が底入れしたとの見方から買い越しに転じた。市場では「菅内閣になったことを契機に買い姿勢が明確になるか見極めたい」(東海東京調査センターの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリスト)との声が聞かれる。

ただし、「政権発足時の内閣支持率の高さは必ずしもその後の株高につながらない」(岡三証券の松本史雄チーフストラテジスト)との指摘がある。たとえば「聖域なき構造改革」を掲げた小泉首相が就任した01年、日経平均は年間で24%下落した。松本氏は「海外勢にとっては、内閣支持率よりも経済環境や景気循環のタイミングがより重要だ」とみている。

市場では衆院解散・総選挙の時期を材料視する向きもあるが、三菱UFJ国際投信の石金淳チーフファンドマネジャーは「政治イベントとしては11月の米大統領選挙のほうが株価への影響は圧倒的に大きい」と指摘。菅内閣の高支持率は「5月以降の利益確定売りで持ち高を4分の1に引き下げた」という日本株に見直し買いを入れるほどの材料ではないという。

日経平均株価がコロナショックの安値16552円を付けた319日から半年。コロナ前の水準を取り戻した相場は膠着感を強めており、スガノミクス相場の行方はまだ見えない。