SankeiBiz

2020.9.16


 NTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」を使って不正に預貯金が引き出された問題で、被害が確認された全11銀行がドコモ口座と銀行口座のひも付けの際、なりすましを防ぐための「2段階認証」を実施していなかったことが15日、分かった。利用者の利便性を優先した結果とみられる。昨年、スマートフォン決済「7pay(セブンペイ)」の不正利用で2段階認証の未導入が問題視されたばかりだが、教訓は生かされていなかった。(岡本祐大)

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                                           ドコモ口座を悪用した不正引き出しがあった金融機関

 

 ドコモによると、15日午前0現在、11行で143件2676万円の被害が確認されている。

 ドコモは被害のあった銀行名を明らかにしていないが、産経新聞の調べによると、ゆうちょ銀行、地方銀行など全ての銀行で、利用者が口座をひも付けしようとする際、2段階認証を実施していなかった。ただ、自行のネットバンキングなどでは行っていた。

 2段階認証は本人確認強化のための手続き。利用者の携帯電話にパスワードが書かれたショートメールを送って入力させたり、一度しか使えない「ワンタイムパスワード」を発行したりする方法がある。

 ドコモは「2段階認証を実施すれば(不正引き出しは)必ず起きないとはいえない」とするが、実施していた三井住友銀行などでは被害が確認されておらず、効果があったとみられる。

 今回の被害について、複数の地銀関係者は「利便性とセキュリティーのバランスを誤った」と明かす。手続きがややこしくなれば新規利用者が離れてしまう懸念があったといい、結果的に利便性がセキュリティーに優先される事態につながった。

 一部からは「ドコモ側と金融機関で二重チェックが効いていると思っていた。見通しが甘かった」と反省する声も上がった。

 今回の問題を受け、各行はひも付けの際のセキュリティー強化を検討する。中国銀行がすでに2段階認証を取り入れたほか、七十七銀行(仙台市)や紀陽銀行(和歌山市)は今月中にも導入するとしている。

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「ドコモ口座」メガバンクでも「預金不正引き出し」

文春オンライン

2020/9/16

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         みずほ銀行 ©共同通信社

 NTTドコモが運営する電子マネー決済サービス「ドコモ口座」からの不正な預金引き出しが相次いでいる問題。今回の件で被害が発生した銀行は主に地方銀行で、メガバンクでの被害は報告されていないが、過去にみずほ銀行でドコモ口座を利用した不正引き出しがあったことが「週刊文春」の取材でわかった。

 

 ドコモ関係者が明かす。 「20195月に、りそな銀行の口座からドコモ口座に不正な入金が確認されたことがすでに明らかになっていますが、実は195月以前に、みずほ銀行の口座からもドコモ口座に預金が不正に引き出された案件があります」

 

 みずほ銀行はその後、ドコモに対して、本人確認の徹底などを求める一方、自行のセキュリティシステムを一層強化することで不正利用の防止に力を注いだ。

 

  ところが、ドコモが20199月下旬に踏み切ったのは、「セキュリティ強化とは逆行する形」(同前)のキャリアフリー化。すなわち、非ドコモユーザーでも、ドコモ口座のサービスを利用できることになったのだ。結果として、非ドコモユーザーの口座からの不正引き出しが相次ぎ、メガバンクと比べてセキュリティの甘い地銀の口座を中心に被害総額は2500万円を超えている(914日現在)。

 

 みずほ銀行は以下のように回答した。 「(195月以前の不正利用を含めて)個別の取引については、事実の認否を含めて回答を差し控えさせていただきます。『ドコモ口座』のサービスにおいて、銀行口座とドコモ口座の名義が一致していなくても使えるなど、セキュリティ上の問題があるとの認識から、名義の一致確認に取り組むため、ドコモの都合により 20193月以降はドコモ口座との新規口座登録を停止しておりました。ドコモにおける名義の一致項目に目途がついたことなどを踏まえ、ドコモと協議を重ねたうえで 20199月に新規口座登録を再開しております」

 

 一方、NTTドコモは以下のように回答した。 「個社の内容になりますので(回答は)差し控えさせて頂きます」  メガバンクでも発覚したドコモ口座を巡る預金の不正引き出し。被害はどこまで拡大するのか。今後のドコモの対応が注目される。

 

 917日(木)発売の「週刊文春」では、相次ぐ預金不正引き出しを招いたドコモの「お役所体質」や、謝罪会見に現れない吉澤和弘社長との一問一答などを詳報している。

「週刊文春」編集部/週刊文春 2020924日号