SankeiBiz

2019.11.14

 

 中国企業の経営者や管理職向けにリーダーシップ実践力向上プログラムを実施している。参加する経営者や窓口担当者を含めて、さまざまな中国人ビジネスパーソンと連絡を取り合うのだが、こちらからメールを送っても、相手からの返信率が極めて低い。交換した名刺に記載したメールアドレスへ連絡しているにもかかわらずだ。

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                          *画像はイメージです

 困っていると中国人経営者が教えてくれた。「もはや中国の国内では、ビジネス上の連絡にメールを使わない。WeChat(ウィーチャット)でビジネスコミュニケーションをとることが普通なので、WeChatで連絡すればどうか」と言う。「VPN接続が不良でメール送受信できないので、WeChatでやりとりしたい」と言ってきた別の人もいる。

 WeChatは中国で圧倒的に普及している。LINE(ライン)と同様のSNS(会員制交流サイト)ツールだ。日本ではLINEでビジネス上のやりとりをすることは未だ限られているが、中国ではWeChatがビジネスでのやりとりをも席巻しているのだ。

 確かに、WeChatでやりとりをし始めて、格段に相手からのレスポンスは早くなった。それも、こちらからは日本語で入力して送信すれば、相手が中国語に変換して読んでくれるので、翻訳の手間がかからない。前出の中国人経営者に言わせれば、翻訳の精度は、他の翻訳ツール以上だと言う。

 「国をまたがるビジネスを推進するためには、言語の壁を乗り越えなければならない」ということは、長く言われ続けたことだ。しかし、今日では、言語の壁ではなく、メールかWeChatかというコミュニケーションツールの壁さえ乗り越えればよいということになる。

 それも言語の壁を乗り越えるための、教科書や辞書を使用して長年にわたって修得するような労力は必要ない。マニュアルなどはなく、何度かツール使用してみれば、慣れてしまう程度だ。それも、コミュニケーションツールが翻訳の役割を果たしてくれる。ツールの壁をいち早く乗り越えた者がグローバルビジネスの勝者であるといえる。

 一方、わが国に目を転じてみると、実はいまだツールの壁を、それもかなり低い壁を乗り越えていない企業がある。そのような企業は、金融機関に多い。低い壁とは、ビジネスコミュニケーションにメールを利用することの壁だ。そもそも、名刺にメールアドレスが記載されていない。こちらからメールで連絡しても、相手から電話で返答がくる。

 「メールを定期的にチェックする習慣がないので、返答が遅くなりました」「送信メールは全て上司にもBCCで送信されるので、メールではなく電話でやりとりさせてほしい」と言われることもある。コミュニケーションツールとして、メールではなく、電話でやりとりする状況だ。

 機密情報の管理を徹底するという目的で、あえてメールの活用に制約を設けているのかもしれない。金融機関にとって情報管理は重要で、その点について異論を唱えるつもりは全くない。

 しかし、それと引き換えで、いまだツールの壁を乗り越えられていないという状況は、ビジネス伸展の妨げになっているのではないかと思えてならない。国内に、電話とメールのツールの壁があることは、わが国自体のビジネス伸展を阻害する一要因であると言わざるを得ない。

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