天牛(紙切り虫)

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2020年09月

日刊ゲンダイ

2020/09/29

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     ネットの世界にも「偽ブランド」が紛れ込む(提供写真)

 

 NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」をめぐる預金の不正引き出しに続いて、ゆうちょ銀行の決済サービス「mijica」での不正引き出しが明らかになりました。いまだ全貌は明らかになっていないようですが、いずれも預金者の口座番号や暗証番号などの個人情報が何らかの形で流出したと考えられています。

「何でそんなことが起こるの?」

「スマホでしょっちゅう買い物しているけど大丈夫なのだろうか?」

 読者の方々もそう感じたはずです。あわてて通帳記入をするために金融機関に足を運んだ人も多かったようです。IT社会のセキュリティーのもろさ、スマホの利便性に隠れたリスクを改めて痛感させられたのではないでしょうか。

 近年多くの人はスマホにクレジットカード情報を登録し、オンラインで決済を行いますが、このときに入力した個人情報の盗み出しによる犯罪被害は後を絶ちません。たとえば、去年3月にはヤマダ電機が運営するオンラインストア「ヤマダウェブコム」「ヤマダモール」が不正アクセスの標的になりました。決済用のアプリが改ざんされ、約3万7000件のクレジット情報が流出し、一部不正利用の可能性があるとされています。

 

■本物そっくりな偽サイトに要注意
 アンケート調査と称して個人情報を抜き取るケースも目立っています。去年の5月、アンケートモニターサービスを行う企業が不正アクセスを受け、約77万アカウントの会員情報が漏洩しました。不正に盗み出された個人情報があなたの気づかない間に、詐欺集団の手に渡っている可能性は否定できません。


 個人情報を扱う各企業は、それぞれセキュリティー対策を行っているはずですが、情報漏洩事件はしばしば起こります。実は不正アクセスによる流出を防ぐには、入り口でウイルスをブロックするだけでは不十分です。私の会社ではたとえウイルスに感染しても情報を外部に流出させない「出口対策」が重要であると考え、DDHBOXというセキュリティー製品の提供を行っていますが、年々企業の情報漏洩対策に関するニーズが高まっていると感じています。

 

突然「ウイルスに感染しています」と偽の警告画面を表示させ、詐欺をはたらく事例も急増しています。ユーザーに警告を信用させるために、実在する企業のロゴが使用されることもあり、手口は非常に巧妙です。こうした「偽物の詐欺サイト」にだまされないためにも、安易に画面をタップしてはいけません。

 IPA(情報処理推進機構)に寄せられる相談の中で、スマホによる「偽警告」の被害相談件数は、去年6月から急増しています。最も多いのは、誘導された画面先で「無料」アプリのインストールを要求され、使用していないアプリの利用料金を請求されるケースでした。配信元の分からないスマホの無料アプリを安易にインストールするのは危険な行為といえるでしょう。 


 不審なサイトへのアクセスや怪しいアプリのインストールは「詐欺被害の入り口」である可能性が高いのです。サイトへアクセスした際に、ブラウザーのURL欄に鍵マークがついているか、URLは「https」から始まっているか、ドメインの文字列は不審なアルファベットの羅列になっていないか、最低限確認することをおすすめします。

 いまやウイルス感染や不正アクセスは他人事ではありません。一人一人がセキュリティー意識を高め、日々対策を行う必要があるのです。

<関連記事> 不正引出し 個人情報

10. 甘すぎる本人確認に戦々恐々」デジタル庁の創設で預金不正引き出しは防げるのかーPRESIDENT Online (2020.9.28)

   http://kairou38.livedoor.blog/archives/24851166.html

 

9.ドコモ口座が“ない”人は誰もが被害の危険…ドコモと銀行、杜撰すぎたセキュリティ対策ーBusiness Journal (2020.9.24)

   http://kairou38.livedoor.blog/archives/24806972.html

 

8. <追記有りー9/23 ゆうちょ銀で不審送金 所在不明の外国人口座からー中國新聞  (2020.9.22)

http://kairou38.livedoor.blog/archives/24785939.html

 

7 「悪夢のドコモ口座」はなぜ生まれた…? ドコモの致命的すぎる勘違いー現代ビジネス (2020.9.21)

   http://kairou38.livedoor.blog/archives/24775125.html

 

6 ドコモ口座詐欺事件、こんな「暗証番号」は超危険! 10人に1人が「1234」という驚愕の事実!ーオトナライフ (2020.9.20)

   http://kairou38.livedoor.blog/archives/24763647.html

 

5 ドコモ口座パニック拡大、他人事ではない「本当に怖い落とし穴」ーDIAMOND Online (2020.9.18)

   http://kairou38.livedoor.blog/archives/24742195.html

 

4. <追記有りー9/16 ドコモ口座被害の11行で「2段階認証」実施せず セブンペイの教訓生かさずーSankeiBiz (2020.9.16)、文春オンライン (2020.9.16)

   http://kairou38.livedoor.blog/archives/24730650.html

 

3. 暗証番号決め撃ちの「逆総当たり」で口座番号も名義もバレバレ! 誰もが被害者になり得る恐怖の手口が判明ーAERAdot.2020.9.17

   http://kairou38.livedoor.blog/archives/24730562.html

 

2. <追記有りー9/16 ドコモ口座被害の11行で「2段階認証」実施せず セブンペイの教訓生かさずーSankeiBiz (2020.9.16)、文春オンライン (2020.9.16)

   http://kairou38.livedoor.blog/archives/24719307.html

 

1. <追記有りー9/15 ドコモ不正引き出し 昨年末に銀行偽サイト大量発見 個人情報入手に悪用かー産経新聞 (2020.9.12)MAG2NEWS(2020.9.15)、朝日新聞デジタル (2020.9.15)

   http://kairou38.livedoor.blog/archives/24676577.html

日本経済新聞

2020/9/29

NTT29日、上場子会社のNTTドコモを完全子会社化すると正式発表した。30日からTOB(株式公開買い付け)を行い、他の株主から3割強の株式を取得する。取得価格は13900円で、28日終値(2775円)に4割のプレミアム(上乗せ幅)をつける。買収総額は約42500億円と、国内企業へのTOBでは過去最大となる。

29日の取締役会で決めた。NTTとドコモは29日午後オンラインで共同記者会見を開いた。NTTは澤田純社長、ドコモは吉沢和弘社長が出席した。

【関連記事】

NTTはドコモ株の66.2%を保有している。残る約34%の株式をTOBで一般株主から取得する。NTT6月末の手元資金は約1兆円で、買収資金の多くは負債で調達するとみられる。

【関連記事】

完全子会社化により、グループ一体で次世代通信規格「5G」の分野に投資し、世界での成長につなげる。菅義偉首相が求める携帯電話料金の引き下げも見据え、経営を効率化する。

日経電子版では共同記者会見でのNTTの澤田社長やNTTドコモの吉沢社長の発言、その後のNTTドコモの新旧社長による記者会見をタイムライン形式で取りまとめた。

1645分】NTTドコモ新旧社長の記者会見が終わった

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     オンラインの記者会見を終え、ポーズをとるNTTドコモの吉沢社長(左)と井伊次期社長(29日)

 

1643分】「ドコモの完全子会社化、従業員の気持ちが1本にならないと」

NTTドコモの井伊次期社長は完全子会社化の課題について問われ、「どういうかたちで連携つよくするかこれから検討する。グローバルでも連携強化するときに起きるのは、会社の文化の違い(による問題)。(互いが)プライドを持ってやってきたことがあるので、統合する時についてくる社員と、違う道がいいという社員と(がいる)。そこで働く従業員の気持ちが1本にならないと成功した統合にならない。それを含めてどんな連携強化がいいか考えたい」とは話した。

社長就任の打診がいつどんなかたちであったのかとの問いには、「もともと私が持ち株(会社)にいて、その時代からドコモの競争力強化はやらなきゃきけないと澤田からも指示が出ていたし、競争力強化を進めてきた。ドコモに行って強化してこいという(この6月のドコモ副社長)人事だった。それで夏ごろ『社長になる心づもりをしておけ』との話があった」と語った。

1639分】「在任中にドコモの成長の原動力つくれた」

NTTドコモの吉沢社長は在任4年半で印象的なことを問われ、「2020年度を見据えた中期戦略をつくるにあたって社会に対してどう貢献するかを定義した。特に非通信の領域、コンテンツ配信とかだが、成長の原動力をつくれたのが私としては非常に貢献できたところではないかと思う。最後は5Gにつなげられた。そこに至るまでのトライアルなどを、かなりやってきたが、社会実装できたと確信をもてたことが1つの成果だと考えている」と振り返った。

1633分】「ドコモ口座の問題、優先度が1番高い」

NTTドコモの井伊次期社長は優先課題について問われ、「ドコモ口座(での不正引き出し問題)でご迷惑をおかけしており優先度が1番高い。(この課題を克服したうえで)ドコモを総合サービスを展開する会社に変えていきたい」と答えた。

1632分】NTTドコモ新旧社長の記者会見の質疑応答が始まった

1630分】井伊ドコモ次期社長「イノベーションを起こす」

井伊次期社長は吉沢社長からの紹介を受けて発言。「社会変化させる原動力はイノベーションだ。イノベーションを起こしていく。当社の使命として5つ。1つ目は新技術やアイデアを取り入れて新たな価値を生み出すこと。2つ目はあらゆる年代から支持されるサービスと価格を提供すること。3つ目は通信もサービスも期待を上回るスピードと品質を提供すること。4つ目はいろんな問題が起きているが、個人・法人のお客様が安心して任せられる信頼される企業にならないといけない。5つ目は新しいライフスタイルを提案して豊かな社会を実現する」と意気込みを示した。

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                 オンラインで記者会見するNTTドコモ次期社長の井伊基之副社長(29日)

 

1626分】続けてNTTドコモの新旧社長による記者会見が始まった

NTTドコモの吉沢社長は「次期社長として副社長の井伊基之を指名した。様々な環境変化の中で、さらにモバイルからドコモの領域を広げる取り組みが必須であり、ドコモの能力を最大限活用することで達成できると確信している。リモート社会への対応、6G対応に向けて、新たな体制で力を発揮できるのが井伊だ。法人営業での実績もある。DXに大きく貢献できる。研究開発体制の強化でも寄与できる。ドコモを強くするのに最適だ」と紹介した。

1619分】共同記者会見が終了した

1617分】「ドコモ完全子会社化で意思決定迅速化」

NTTの澤田社長はNTTドコモの完全子会社化の利点に意思決定の迅速化があるのかと問われ、「おっしゃった通りだ。1番効果的なのは意思決定を迅速化できる。上場会社同士だとステークホルダーが違うし、少数株主の権利やベネフィット(便益)を重視すると、対象が広がって議論や意思決定に時間がかかる。完全子会社化と親子上場との違いはガバナンスのスピードが違うということに尽きる」と答えた。ドコモの吉沢社長も「意思決定が迅速化できるのは大きい」と話した。

1557分】「『NTTグループはとても大きい』という認識ではない」

ソフトバンクKDDIなどの携帯各社への脅威になるという声もあり公平性の点などからの懸念は、と問われたNTTの澤田社長は「NTTドコモのシェアは40%)ちょっと。NTTグループがとても大きくて他社が小さいという数十年前の市場の認識ではない。NTTが強大な資本を利用してと言うが、NTT東西がドコモのために供与するのは法律上ダメだ。しかし、私どもはNTT本体や(NTT)コムウェアがドコモと連携を深めることは法制度でいけないということはないという認識だ。ドコモを強くするわけだから競争だ。ソフトバンクとKDDIは競争に負けるかもしれない。そこで料金が下がることが必要ではないでしょうか。収入利益は私たちは3番手ですから、どう勝っていくかという方法論、だと理解してほしい。GAFAなり強い所が出てきているという危機感もある」と応じた。

1553分】「携帯料金引き下げ、検討している」

NTTの澤田社長は今回の完全子会社化と菅義偉首相が掲げる携帯電話料金引き下げとの関連について問われ、「安価なサービスを出すのは政府に言われたからとか出資があるからではなく、競争に勝つことを前提として積極的に取り組んでいる。ただ(NTT)ドコモは(今回の件で)強くなるので、値下げの余力がでてくる。ドコモは昨年6月、ボリュームゾーンで2500億円の還元を既におこなっている。さらに私たちは、お客様の要望の1つとして、値下げも検討している」と答えた。

NTTドコモの吉沢社長は「今回の件と値下げが結びついていることはない。使いやすいサービスを実現したいという思いから継続的に値下げはやってきた。お客様に還元はしつつ、企業価値は向上しないといけないので、強い基盤のもとでお客様に還元していくのが考え方かなと思う」と話した。

1538分】「ドコモの完全子会社化、4月後半に話をはじめた」

NTTの澤田社長はNTTドコモの完全子会社化の構想が頭にいつからあったのかと問われ、「ドコモはシェアは大きいが、収入平均は3番手に落ちていて、春の段階で明確になっていた。完全子会社化をベースにドコモを強化するのはどうだろうと4月後半に話をはじめた。そこから色々積み上げたので、頭の体操としてあるかないかはあるが、環境変化に対応しないといけないとなったのは、この春からだ」と語った。

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オンラインで記者会見するNTTの澤田社長(29日)

 

1536分】「コムウェアをドコモに移管しようと考えている」

NTTの澤田社長は、NTTドコモがNTTコミュニケーションズやNTTコムウェアを吸収合併する可能性があるのか、また競合他社から批判が起こるのではと問われ、「コムウェアをドコモに移管しようと考えているが、どのような方法かは議論している。吸収合併か否かは議論が足りない、検討がない状態だ。吸収合併が今までの(NTTグループの)分割論に対してどうかという点は、コムウェアは自由な民間会社だ。分割を元にもどすということでは意味が違うのではないかと考える」と答えた。

1535分】共同記者会見の質疑応答が始まった

1529分】「ドコモ、グループの中核担う」

NTTドコモの吉沢社長は続けて、「社会産業のデジタル化、社会課題の解決に貢献したい。6Gの早期実現で、我が国のIoT産業の発展、国際競争力の向上に貢献したい。完全子会社化でドコモはNTTグループの中核を担い、コンシューマーや法人を問わず、お客様のニーズにトータルで対応できる会社に自らを変えていく。通信ネットワークの競争力をさらに高める必要がある。例えば(NTT)コミュニケーションズや(NTT)コムウェアがもつアセットを活用するのが、その最短で確実な方法だと考えた」と強調した。

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NTTドコモの吉沢社長によるオンライン記者会見の画面(29日)

 

1528分】「ドコモ、モバイル中心からトータルで支える存在に」

NTTドコモの吉沢社長はドコモにとっての意義について、「今日市場環境はおおきく変化している。新規参入やサブブランドの攻勢で厳しくなっている。また新型コロナでデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速しているお客様のニーズが高度化・複雑化している。3月に5Gの商用サービスを開始した。5G時代はモバイルが支える領域が拡大する。いまだからこそ私たち自身がモバイル中心からトータルで(顧客を)支えられる存在に変革する必要がある。それで今回の判断に至った」と説明した。

1526分】「コミュニケーションズやコムウェアのグループへの移管検討」

澤田社長は「ドコモを完全子会社化したうえで、(NTT)コミュニケーションズや(NTT)コムウェアをグループに移管することを検討している。NTTデータを完全子会社化する考えはありません」と話した。

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NTTの澤田社長によるオンライン記者会見の画面(29日)

 

1522分】「ドコモは6Gを見据えた総合ICT企業に」

NTTの澤田社長は続けて、ドコモについて「6Gを見据え総合ICT企業を目指して欲しい。ドコモの成長でNTTグループ全体の成長をめざす。(NTT)コムウェアなどの能力を活用して4つの取り組みを推進する。1つ目は法人営業の強化。2つ目はサービス創出力の強化。スマートライフ事業の強化、新規事業の創出になる。3つ目はコスト競争力の強化、4つ目は研究開発費の強化。6Gにかかわる研究開発を推進しようと考えている」と語った。

1515分】予定より少し遅れて共同記者会見が始まった

NTTの澤田社長は冒頭、「それではNTTドコモの完全子会社化の意義と目的を説明する。情報通信市場ではグローバルプレーヤーを含め、多面的な市場競争が展開している。コロナ感染を受けて、アフターコロナを展望すると、リモートワーク、分散型社会、といった大きな変化が想定される。NTTグループとして、グローバルレベルのダイナミックな経営環境の変化に対応する必要がある」と話した。

 

日本経済新聞(スポーツライター 丹羽政善)

2020/9/28

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試合前に室内での練習に向かうエンゼルス・大谷=共同


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月上旬、テキサスは意外にも涼しく、秋の訪れが感じられた。レンジャーズの新球場の屋根は開閉式であるものの、その日は試合中に雷雨の予報もあり、閉じられたまま。空調管理された球場内は外よりも暖かかった。

試合開始およそ2時間前、その季節感のないフィールドに姿を見せた大谷翔平(エンゼルス)は、センターでノックを受け、打撃練習が始まると、そのままセンターで球拾いを始めた。打球を追う姿は、本職の外野手そのもの。真後ろに飛んだ打球も目を切って背走。軽々と追いつき、走りながらグラブに収めた。

94日の記者会見で、日本では外野を守ったこともあるのになぜ守らなくなったのか? と米記者に聞かれ、「なんでですかね? 下手だったんじゃないですか」と苦笑しながらいなした。が、あの練習を見れば、マイク・トラウトを休ませたいときに大谷を使えれば――。ジョー・マドン監督がそんな誘惑にかられてもおかしくない。

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外野で守備練習する大谷。その動きは本職そのもの=共同


もっとも、それは実現するとしても先の話。このオフ、大谷は仕切り直しとなった二刀流復活に向けて再始動する。

■ほしいときに空振りがとれない

宿題は少なくない。例えば、筋肉量をどうするのか。投手としては必要な筋肉量を獲得できたとしても、それは打者としては適量だったのか。その逆の場合はどうだったか。バランスの検証が必要になる。

打撃不振については、「偶然にそうなっているわけではない。技術面でそうなっている」。大谷がたびたび口にしたのは「構え」。今年は構えがしっくりせず、試行錯誤を繰り返した。「改善していくしかない」と話した大谷だが、課題解決のヒントは見つかっているのか。

もちろん、なにより取り組むべきは投手復帰への道筋。だが今オフは、その先の進化も求められる。

おそらくメカニックに関しては、マイナーチェンジはあるにしても、左足を地面に踏み出す直前、テイクバックで右手の位置を肘より下から上に変えた昨オフほど大きな修正はない見込み。

それよりは、痛めた右前腕のリハビリの後、フォームが安定した段階で取り組みたいのはそれぞれの球種にどう磨きをかけるか。特に4シームファストボール(4シーム)の球質に関しては課題が少なくない。

2018年、大谷がボール先行のカウントで4シームを投げたのは69.1%。同年、そのケースでの被打率.415はメジャーワースト6位(総投球数750球以上、4シーム投球数150球以上)。対左打者に限定すると被打率は.476に達し、こちらはメジャーワースト(総投球数750球以上、4シーム投球数100球以上)。あれだけ速くても、相手に狙いを絞られるとかくも脆(もろ)いのである。

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                                 大谷の速球は狙いを定められると、大リーガーには打ち返されてしまう=共同

 

4シームの空振り率も低い。1820年の3年間を対象とし、大谷のほか、メジャーを代表する4投手の空振り率を調べてみた(924日現在)。

ジャスティン・バーランダー(アストロズ)29.8%

ゲリット・コール(アストロズ/ヤンキース)32.5%

ジェイコブ・デグロム(メッツ)30.7%,

マックス・シャーザー(ナショナルズ)29.2%

大谷翔平(エンゼルス)20.8%

■「ボールが動かない」大谷の速球

そうそうたるメンバーとの比較とはいえ、この10%の差は小さくない。大谷の4シームは決して必要なときに空振りが取れる球質ではないのだ。

その一因は4シームの軌道に求めることができる。大谷と先ほどの4投手の18年の変化量を比べてみた。

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変化量とは、投手が投げる球と同じリリースポイント、球速、球種ながら、ボールが無回転だった場合にホームベースに到達する場所を基準点(グラフのX軸、Y軸がともにゼロの地点)とする。投手が実際に投げるボールには回転がかかっているため、基準点に達することはない。基準点とどれだけ平均到達地点が異なるのか、が縦横の変化量ということになる。

各選手の平均値と大リーグ平均を比較すると、大谷の4シームの軌道はリーグ平均に極めて近い。つまり、打者が一番見慣れた軌道ということになる。

かつて大谷が「品がある」と評したバーランダーの4シームは横にも横にも変化量が大きく、右打者には自分に向かってボールが浮き上がってくると映るはず。縦の変化量はリーグ平均と同レベルだが、横の変化量が小さいデグロムの4シームは、カットボールと錯覚するのではないか。

打者は各投手の軌道をイメージして打席に入るが、脳には平均の軌道が刷り込まれているため、そこから外れれば外れるほど、厄介になる。バーランダーらが結果を残しているのは偶然ではない。対照的に大谷の4シームには特色がなく、そういう球質を大リーグの各打者は「ボールが動かない」と表現する。

■フォームをかえるか、新球種を覚えるか

どう改善していくのか。今どきのアプローチであれば、まずは投げたい軌道をイメージし、それに近い球を投げる投手の縦横の変化量などを分析する。次に腕の角度、握り方、リリース時の手首の角度、回転軸などを変えながら投げてみる。それをエジャートロニックという1秒間に3000コマ以上の撮影が可能なハイスピードカメラで撮影しながら確認し、同時に1球ごとにデータを取って、投げたい軌道データと比較。イメージした球筋に近い最適な投げ方が見つかれば、あとはひたすら動きが自動化されるまで投げ、体に覚えさせる。

もし、大谷がバーランダーのような縦の変化量が大きい4シームを投げたいと考えるなら、リリース時の腕のアングルを変える必要があるかもしれない。今はスリークオーター気味なので、ボールを体に近い位置でリリースし、しかも高い位置から投げることで、回転軸を進行方向に対し90度に近い角度に変えることができる。

それがしっくりこなかったら、新しい球種の習得も視野に入ってくる。

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                レッズのバウアーは2シームを習得して進化、サイ・ヤング賞の候補に=USA TODAY


今年のナ・リーグのサイ・ヤング賞候補に挙げられているトレバー・バウアー(レッズ)はかつて、きれいなバックスピンのかかった4シームを投げていた。しかし、そのために上半身をやや一塁側に倒して投げる必要があり、いつか腰を痛めてしまうと指摘され、体の軸を真っすぐに変えた。結果的に腕がさがり、4シームの軌道も変わった。それを戻そうと腕の角度を変えたりもしたが、思ったようにいかない。そこで2シームファストボール(2シーム)を試したところ、これまで投げられなかった左打者をのけ反らせるようなフロントドアの2シームが投げられるようになった。「スリークオーターで投げる2シームは、曲がりが大きくなる。ケガの功名だ」。本人はそう話した。

大谷はどんなプロセスを選択するのか。変化が求められていることは間違いない。

 

心の「縁側」を大切に

ダイヤモンド(セレクト編集部 江田智昭)

2020/9/28

 

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超覺寺(広島) 投稿者:@chokakuji  [2020715]



法を見るものは縁起を見る

 今回は「お寺の掲示板大賞」の常連、広島市中区八丁堀と繁華街にも近い超覺寺の掲示板から。山号・院号の林鶯山憶西院は、後醍醐天皇に仕えた北畠大納言親房の草庵に由来する真宗大谷派の古刹です。

 この言葉は、笑い飯哲夫さんと釈徹宗師の共著『みんな、忙しすぎませんかね?――しんどい時は仏教で考える』(大和書房)の中に出てきます。

 昔の戸建ての家では庭に面して縁側がありました。人々が気軽に集まれる縁側は人と人とがつながる交流の場であり、ご縁を結ぶ共有スペースのような存在でした。それは家を隔てる垣根や塀ができていくことで、失われていきました。

 都市部では畳の部屋で暮らす人も少なくなり、集合住宅にはそもそも庭がありません。若い人たちは、絵本の挿絵で見たくらいで、縁側の存在を実感する機会は少ないでしょう。

 縁側の消失は家だけでなく、わたしたちの心にも当てはまるかもしれません。個性重視の風潮の中、他人との違いを強調するために自我という名の垣根を高くすることに固執し、心の中に縁側を作る余裕がない人が増えているような気がします。

 そして、高く強固に作り上げられた垣根によって、他者だけでなく、自分自身も強く圧迫され、苦しみが増してきているようです。

 果たしてそんなに「垣根」にこだわる必要があるのでしょうか? 天台宗僧侶で東京・碑文谷にある円融寺住職の阿純章師は、著書『「迷子」のすすめ』(春秋社)の中でそれを「城壁」と表現しながら、以下のように説いています。

 仏教を学ぶうちに少しずつ分かってきたのは、「自分を、自分を」と言って自分を築き上げているつもりが、実はそれが自分の中身ではなく、結局のところ自分と他人との間の城壁を築いているだけだということだ。

 競い合って自分のつくった城壁が誰よりも立派で特別かと優越感を抱いたり、実際よりもよく見せようと虚栄を張ったり、逆に自分より立派な壁を見て自信を失い劣等感や不安を抱いたりしているが、その城壁の肝心の中身はというと、実はカラッポなのである。(中略)

 自分を特別にしようとするから、特別さを味わえないと自分の存在が無意味に感じられて、不安や恐怖にさらされたり、こんな自分ではダメだと自己否定したりして、自分でつくった城壁にかえって押しつぶされそうになる。なまじ城壁なんてつくるものだから窮屈な思いをするのだ。

 そんなちっぽけな城壁に依存して引きこもっているのではなく、思い切って城壁を取っ払ってみたらどうだろう。そうしたら、あらゆるものすべてがそのまま自分とつながっていることが実感できるのではないだろうか。

 「自分らしさ」で悩んでいる人にとっては、この文章がヒントになるのではないでしょうか?みうらじゅんさんが以前、「自分なくし」を提唱していました。「自分なくし」とはある意味、この「城壁」(垣根)を取り払うことです。

 『縁起を見るものは法を見る。法を見るものは縁起を見る。』(『中阿含経』)という大変有名な言葉があります。ここでの「法」とは仏教の教えのことであり、「縁起」とはすべてのものはつながり合っているということです。ですから、仏教の教えを理解した者は、自我の意識が薄まり、縁起(つながり)を感じるようになるのです。

 そして、仏教は「自我という垣根は単なる妄想の産物であり、そもそも存在しない」ということに気づく教えであるともいえます。わたしたちの悩みや苦しみの大半は自分自身が無意識に作り上げた垣根から発生します。自我という名の垣根に固執するのではなく、さまざまなものを温かく受け入れられる「縁側」を心の中に設けたいものです。

 

36Kr japan

2020928

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先日「30歳で日本企業の取締役に、中国人留学生の『普通だけど尋常ではない経歴』」という記事が、インターネットでちょっとした話題となった。その主人公は、KADOKAWAグループ傘下のJ-GUIDE Marketingで事業統括をしているヤンロン(楊嶸)氏だ。

J-GUIDE Marketingは、KADOKAWAグループのリソースを活用し、広告、ECIPなどの事業を手がけ、日本および中国向けにマーケティングのサービスを提供している。現在は、約20名の社員が在籍しており、8割が日本での留学や仕事の経験がある中国人社員だ。

この会社のキーマンは、1989年生まれの31歳で中国福建省出身のヤン氏。彼は、2009年に中国の高校を卒業した後、留学のため来日。日本語学校で2年間、千葉商科大学で4年間と、6年間の留学生活を経て、2015年にヤフー株式会社に新卒として入社。広告営業職として代理店営業を担当。

その後、
2018年に株式会社KADOKAWAの子会社であるJ-GUIDE Marketingの創業メンバーとして、事業の立ち上げに参画。現在は、J-GUIDE Marketingの外国人取締役として、事業全般を担当している。

インフルエンサーとしてスタート

ヤン氏は10年前の中国SNS黎明期からインターネット界で趣味として活動してきた。

中国版Twitterと呼ばれる微博(Weibo)では、「日本情報站」という日本総合情報を発信するアカウントの運営をしており、今では約200万のフォロワーがいる。

「中国人向けに、日本の情報および在日中国人の生活に役立つ情報をリアルタイムで紹介するといった内容をコンセプトに、10年間配信し続けてきた。大変有り難いことに、昨年末には微博社から『日本情報達人』のカテゴリで賞をいただくことができた」と明るい笑顔を見せながら語るヤン氏。

この10年間で配信してきた、自治体の観光情報、メーカーの商品紹介や、体験サービスなど数百社以上にものぼる宣伝実績が、現在の会社経営に非常に役立っているそうだ。

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                                                                              ヤンロン氏の受賞時の様子


コロナ後の「リカバリープラン」

しかし、誰も思いもしなかった感染症の流行が、ヤン氏の事業計画を大きく乱した。

昨年は、インバウンド系のクライアントが多く、J-GUIDE Marketingが大きく成長した一年だった。今年は、オリンピックが開催されることを前提に、目標を高く設定したが、まさかのコロナショックに見舞われた。

苦しい時期でも雇用を維持し、社員が楽しく働ける空間を創り出すという難しい経営課題に直面し、悩まされたヤン氏だが、長く足踏みすることはなかった。

リカバリープランとして、経営側で出した戦略で、計画していた新規事業を加速させたのだ。

今まで日本企業の対中マーケティングをメインにやってきた同社は、日本で構築したリソースやノウハウを活かし、越境ECソリューションと中国企業の日本マーケティング支援に方向転換することにした。

数カ月間試行錯誤した結果、最近ようやく期待していたことが実ってきたという。今年10月には、アニメ関連の商品を販売するアリババ傘下の「T-mall国際」の越境EC店の運営・宣伝が始まる。

さらに、中国大手ゲーム会社が日本でリリースするゲームの大型プロモーションを受託することができ、新しい事業の将来性が見えてきた。

「ここからは、アクセルを踏むタイミングだと思い、増員することにした」と今の世の趨勢とは逆の判断をした。

日中マーケティングの違いについて

日中両方にサービスを提供しているので、「日本と中国マーケティングの違いは」と質問を投げかけたところ、「二つの事業部とも私の管轄で、違いは非常に大きい。瞬時の思考切り替えが必要で、大変だった」とヤン氏は笑った。

その違いの一つ目はマーケティング手法だという。日本ではエンジン検索、TVCM、電車広告など多種多様だが、中国マーケティングは、基本デジタルファースト。その中でもSNSマーケティングが一番主流となっている。

二つ目はクライアント業種。日本でマーケティング活動を展開している中国企業は、IT企業とゲーム会社が多いが、中国でマーケティング活動を展開している日本企業は自治体、商業レジャー施設、メーカー企業が多く、基本はインバウンド集客が主要目的となるそうだ。

三つ目は人口あたりの予算が挙げられる。中国企業は日本企業と比べ、予算配分が多い傾向がある。

第二の創業の気持ちで再チャレンジ

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その認識の上で、事業方向の転換を図ってきたヤン氏は、最後にいつもの笑顔を見せながらこう語った。

「コロナ禍で苦しんでいる創業者にとって、今年は大きな試練だが、このような非常時だからこそ、直ちに思考を変え、適時調整することが大事だと思う。私は、ピンチをチャンスに変え、第二の創業という気持ちで、今は新規事業の準備期間として、来年の飛躍に向けて前向きに頑張っていきたい」

(作者・Ai

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