天牛(紙切り虫)

私が関心のある、気に入った、「新聞」・「メルマガ」等のニュースをまとめて紹介します。「コメント」は歓迎ですが、「公開」の前に、判断をさせていただきます。

2019年09月

日本経済新聞 電子版

2019/9/26

 

万引き件数はすでに高齢者が未成年を上回っているのは有名な話。少子高齢化に伴う必然的な流れだが、旅行予約の世界でも同じように老若逆転が起きているらしい。

11月
若い人ほど海外旅行の相談を店頭でする傾向がある

 

JTB総合研究所の「海外観光旅行の現状2019」のデータは興味深い。旅行の相談から申し込みまでは「すべてネット」が48.2%と最も多いが、1829歳の男女を見ると、「旅行会社の利用」が「ネットの利用」を上回っているのだ。

男性1829歳は旅行会社利用が39.3%とネット比率より上。同・女性も同じパターンだ。一方、シニアは逆。6079歳の女性のネット利用は60.7%で、同じ年齢層の男性もネットが半数を超える。意外な結果だ。

なぜこんな現象が起きているのか。JTB総研によると、「シニアの方が海外の旅に慣れているので、自分でネット検索するだけ済む。若者は情報はあっても経験はない。だから背中を押してほしいのではないか」と見ている。

ネット社会が到来して20年。もはやネットが若者、リアルがシニアという領域の区分けは消滅しつつある。フリマアプリのメルカリのデータを見ても、シニアの利用は急増している。18年の50代以上の利用者は前年に比べ60%増という高い伸びを示す。

まさに"コンビニエンスストア現象"があらゆる分野に及んでいる。かつては若者の殿堂だったが、時代とともにシニアの比率が上回ることだ。消費の世界はデジタルもリアルも人気漫才コンビのトム・ブラウンのネタではないが、老若が「合体」する方向に向かっている。

若い世代が流行を生み、それが徐々に幅広い年齢層にシフトしていくという古典的なマーケティングトレンドは崩れていくだろう。いわゆるイノベーターアーリーアダプター(初期市場)と移行し、マジョリティーを形成していくパターンはどこから生まれてくるのか読めなくなる。

情報過剰の時代はトレンドが消えると以前書いたが、それを象徴する動きがあった。カジュアルウエアのラコステが自社ブランドの古着と新品を混在させた期間限定の店を東京・原宿に開いたのだ。新品を扱うブランド衣料の企業が古着を扱うのは実に珍しい。

若い世代にとって古着に抵抗感がなく、むしろ過去のとんがったデザインは刺さる。ラコステは必ずしも若者向けブランドではないが、新旧合体でアピールしようというわけだ。同社はこの試みを「OLD meets NEW!!」と銘打ち、新たなサービス展開を検討している。

例えば80年代のラコステと新品をコーディネートすると、前衛的な印象が生まれる。漫画をデザインした古着のTシャツはラコステにとって黒歴史かもしれないが、遊び心とブランドイメージのズレに魅了された。

原宿を若者の街と考えるのもナンセンスかもしれない。逆に巣鴨は若者が増えていきそうだし、そこかしこで逆転と合体が頻発しそうだ。

中村直文(なかむら・なおふみ)

1989年日本経済新聞社入社。産業部、流通経済部で百貨店・スーパー・食品メーカーなどを担当。日経MJ編集長などを経て20184月から経済解説部編集委員。専門分野は流通・個人消費など。

 要介護を招く将来の骨折・転倒を防ぐ

日経Gooday

2019/9/27

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将来の骨折・転倒を防ぐため、若いうちから心がけたいことを教えてもらった(写真提供=原宿リハビリテーション病院リハビリテーション科)

 
65歳を過ぎて要介護になった人の主な原因に「脳卒中」「認知症」「老衰」に加えて、「骨折・転倒」と「関節疾患」がある。これらを予防し、年をとっても自立して楽しく生活していくために、若いうちから心がけるべきことは何だろうか? 骨代謝に詳しく、高齢者医療とリハビリテーション医療の第一人者である原宿リハビリテーション病院名誉院長の林泰史さんに聞いた。

■骨量と筋肉は30歳前後から減り始める

足腰の衰えは健康寿命に直結する。高齢者の中には、転んで脚の骨を折ったことをきっかけに歩けなくなり、要介護になってしまう人が少なくない。

2016年の「国民生活基礎調査」によると、高齢者が要介護になった原因の第4位が「骨折・転倒」で12.1%、第5位が「関節疾患」で10.2%となっていた。「要介護の前に要支援という軽い段階がありますが、要支援になる一番の原因は関節疾患なんです」と林さんは指摘する。

「年をとると関節が弱くなる。特に太っている人は膝の関節に負荷がかかります。関節の負荷を減らすには、周りの筋肉を鍛えること。膝周りの筋肉を鍛えると関節の負担が減り、将来、膝が痛くなることの予防にもなります」(林さん)

筋肉の老化は、早くも30歳前後から始まる。放っておくと脚の筋肉は年2%のペースで減り続け、80歳を迎えたときには30歳前後の半分以下になってしまう。

骨も20歳前後をピークに密度が減り、スカスカになっていく。「男性は80歳、女性は65歳になると約半数が骨粗しょう症と診断されるようになります」(林さん)。骨がもろくなれば、ちょっと転んだだけでも折れやすい。特に大腿骨の根元(大腿骨頸部)を骨折すると歩行能力が著しく低下し、そのまま歩けなくなってしまうことが多いという。

しかし、筋肉や骨量の減少は生活習慣で抑えることができる。

「何歳になってからでも骨量や筋肉を増やすことはできます。もちろん、早ければ早いほどいい。若いうちからそういう生活習慣を持てば、年をとっても骨量や筋肉を大きく減らさないようにできるでしょう」(林さん)

つまり、年をとってからの関節疾患や、要介護につながる骨折・転倒を防ぐには、まだ若い3040代のうちから骨と筋肉の“貯金”を心がけておくべき、ということだ。

■骨を強くする日常生活の3原則とは?

では、具体的にどんなことを心がければいいか。まず骨を強くする日常生活の3原則として、林さんは「食事」「日光」「運動」を挙げる。

骨はカルシウムでできているため、骨を強くするには、まず原料となるカルシウムを積極的に補給する必要がある。さらに、カルシウムの吸収を促進するビタミンD、カルシウムの骨への沈着を進めるビタミンKも重要だ。「この3つの栄養素が骨を強くするゴールデン・トライアングルです」(林さん)

ビタミンDはこのところ注目が高まっている栄養素だ。不足すると骨がもろくなるだけでなく、糖尿病や高血圧のリスクも高くなる可能性が示唆されている(Arch Intern Med. 2007 ;167:1159-65.)。食品ではアジやサバなど青魚に多く含まれるが、肌に日光を浴びることでも合成される。日光を避けるようになった現代人はビタミンDが足りなくなりがち。ある程度は日光を浴びることも必要だ。日焼け対策で肌を露出しないようにしている人は、とりわけビタミンDを多く含む食品を積極的に取り入れたい。

ビタミンKは納豆に多く含まれている。実際、納豆をよく食べている人は骨折しにくい傾向があることが分かっている。「東日本ではよく納豆を食べるので、西日本よりも2割くらい大腿骨頸部骨折が少ないという報告もあります」と林さん。ぜひ積極的に食べてほしい。

骨粗しょう症予防には運動も欠かせない。特に「垂直方向に刺激を加えることで、骨量が増えて骨が強くなります」と同病院リハビリテーション科課長の中江暁也さんは話す。実際、重力のない宇宙空間では骨からカルシウムが放出され、急速に骨量が減ることが知られている。水泳選手も意外と骨粗しょう症になる人が多いそうだ。

垂直方向に刺激を加える運動法というと縄跳びやジャンプを思いつくが、中江さんによると「スクワットや立ち座りで下半身の骨に体重を加えるだけでもいい」という。

■転倒予防にはスクワットとダンス

筋肉を増やすには、何といっても運動だ。

マシンやバーベルを使った筋力トレーニングをする場合、「まず1回で持ち上げられる最大の重さを量ります。これが最大筋力。筋肉を増やすには、この68割の負荷をかけた運動を10回繰り返すのが最も効果的な方法です」と中江さん。6割の負荷とは、最大で100kg持ち上げられる人なら60kg、最大で50kgなら30kgという意味になる。

転倒や膝の痛みを予防したければ、下半身の筋肉を鍛えること。特にスクワットは脚を伸ばす筋肉と曲げる筋肉の両方を鍛えられるうえ、垂直方向に刺激が加わるため、前述したように骨量も増やしてくれるいい運動だ。太ももの大腿四頭筋は人体最大の筋肉なので、少し鍛えるだけでトータルの筋肉量が増えるというメリットもある。参考のために中江さんがお勧めする3種類の運動を紹介しよう。

それほど強度は高くないので、回数を減らせば高齢でもできるはずだ。

1】クオーター(1/4)スクワット

(1)  足を肩幅に開いて立つ
23秒くらいかけて、膝を45度(直角の半分)まで曲げて腰を落とす
33秒くらいかけて、膝を伸ばす
4)体力に応じて1020回繰り返す

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足は肩幅程度に開き、膝は45度を目安に曲げる。爪先と膝は正面に向け、腹筋や背筋を意識して行う

 

クオータースクワット(膝の角度が45度)にする一番の理由は「過度な膝への負担を減らす」ため。また、背骨が屈曲している高齢者がいきなりハーフスクワット(膝の角度が90度)をすると、体をより前方に曲げなければならず腰への負担が増大する、45度から始めると正しいスクワット姿勢を身に付けやすい、といった理由もある。

クオータースクワットで負荷が軽いと感じる場合は、胴体と腕の角度が90度になるよう両手を体の前方に出し、ペットボトルを持ちながら実施するとよい。あるいは、クオータースクワットを数週間実施してから、余裕があればハーフスクワットに段階を上げるのもいいだろう。

2】かかとを上げる運動

(1)  壁に両手をついて立つ

(2)  かかとを上げて爪先で体重を支え、頂上でいったん止めてから戻

(3)  2030回繰り返す

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姿勢はまっすぐのまま、お尻が後ろに下がらないよう注意して行う

 

3】爪先を上げる運動

1)壁に両手をついて立つ
2)爪先を上げてかかとで体重を支え、頂上でいったん止めてから戻す
32030回繰り返す

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姿勢はまっすぐのまま、お尻が後ろに下がらないよう注意して行う

 

「かかとを上げる運動」ではふくらはぎの腓腹筋とヒラメ筋が、「爪先を上げる運動」ではすねにある前脛骨筋が鍛えられる。前脛骨筋が強くなるとつまずきにくくなるため、「爪先を上げる運動」は特に転倒予防の効果が高いという。

運動ではダンスも注目されている。

「普通のリハビリは単調なので、飽きてしまってなかなか続かない。だけどダンスは覚えると楽しいでしょう。最近になって、同じ動作を繰り返すことで脳の神経がつながることも分かってきました。ダンスと太極拳は、とりわけ転倒予防の効果が高い運動であるといわれています」(林さん)

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原宿リハビリテーション病院考案のダンスを紹介したDVD付き書籍『体幹ほぐして関節元気に くるのびダンスエクササイズ』(サンマーク出版)

原宿リハビリテーション病院でもオリジナルのダンスを開発している。回転する動作と関節を伸ばす動作が多いことから、くるくるのびのび、という意味で「くるのびダンス」と命名した。10種類の動きがあるが、すべて行っても1分しかかからない。117人の入院患者に協力してもらって試験したところ、やはり転びやすさは確実に改善したという。

年をとってからも自立した生活を送るには、何歳になっても「自由に歩き回れる」能力をキープすることが基本だろう。若いうちから骨と筋肉の“貯金”を心がけた生活習慣を持ち、いつまでも豊かで充実した人生を過ごしたいものだ。

(文 伊藤和弘)

林泰史さん

原宿リハビリテーション病院名誉院長。1964年に京都府立医科大学卒業後、東京大学医学部整形外科医局に入局。東京都多摩老人医療センター(現・東京都保健医療公社多摩北部医療センター)院長、東京都老人医療センター(現・東京都健康長寿医療センター)病院長、東京都リハビリテーション病院病院長などを歴任し、2015年より現職。専門は整形外科学、リハビリテーション医学。監修書に『体幹ほぐして関節元気に くるのびダンスエクササイズ』(サンマーク出版)など。

アゴラ(倉本圭造 経済思想家・経営コンサルタント)

20190930

この絵は昔「中韓」と「日本」の間で線を引くと東アジア的本能的な安定が得られるんじゃないかというブログ記事で使ったものなんですが。

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距離が近いからこそ、“違い”をちゃんと理解しないとうまく付き合えないのは人間の普遍のルール

別に「中韓を下」に見るとかそういう話ではなくて、感性において「違う」部分が存在することを理解することは、お互いのコミュニケーションを円滑にするために重要な時がありますよね?

もちろん地理的には今後も未来永劫近くにいますし相互関係も緊密ですから、仲良く出来たほうがいいには違いない。けれども、これは夫婦関係でもそうなんですが、

「距離的に近いところにいるからこそ、”夫婦なんだから仲良くして当然だろ?わかりあって当然だろ?”と押し切るのではなく、近くにいるからこそ、その”違い”をお互いちゃんと理解して付き合うようにしないといけないね」

という言い方もできるんじゃないかと思います。

アカデミックなモノの見方が問題を解きほぐしてくれる時がある

最近、中国史に関するアカデミックな本(といっても本式の学術書でなく学者が書いた一般向けの本)を読むことがあって、いろいろと「なるほどなあ」と思うことがあったんですね。

王岐山という中国の高官がいい本だったと紹介したことがあるという岡田英弘という日本の中国史(モンゴル史)学者の人がいるんですが、たぶんその人がいる立ち位置に近いような、「中国史を単体で見るのではなく、シルクロードを経由した東西文明のインタラクションの中から中国史を見ていくという趣旨の本」だと思います。

表紙に「驚くほど仕事に効く知識が満載!」って書いてあるんですが、確かに現代中国に対する見通しが、学者さんが一気にまとめた大きな視点から見直すことで深まる、みたいなことがかなりある本でした。

これは、現代中国と深く関係して生きている人でも、というかひょっとすると現代中国人にとっても、「古代からずっと不変的に中央集権的国家がすべてを統治してきた歴史観」って、もちろん歴史なんてぜーんぜん興味がない人にはあまりないかもしれないけど、「ちょっと」は歴史的観点をもって色々見る人にとっては当然視されてしまってるところがあるじゃないですか。

だから、例えば香港と中国という「お互い絶対に負けられない戦い」みたいなことになった時に、中国側としても「妥協」することができない。中国国内の事情にうとい日本人からすると、別に一国二制度的な構造があったって中国は中国なんだから問題ないんじゃないの?と思うようなラインでも妥協することができないでいる。

中国っていうのは「ひとつ」であるべきだから、というか、「ひとつでなくてはならない」から・・・と自他ともに思い込んでしまっている

ところがあるんじゃないかと思うんですよね。

中国は「ひとつ」でなくてはならない…という思い込みが、東アジア人全体を自縄自縛にしている?

だから、別にほんの数歩引いて妥協点を見つけたらいいんじゃないの?と関係ない人から見れば思うことでも、まず中国側が「その数歩でも引くこと自体が”中国の代表としてありえない”と思ってしまうし、まわりの人も、そのほんの数歩の妥協で”ついに中国の代表としての譲れない線が崩壊したぞ!”と過剰に大騒ぎしてしまいがちになるので余計に引くことができなくなる…、みたいな構造になってしまっている。

しかし、この本のような視点から見ると、中国がいわゆる「華夷秩序」「すべての外交は朝貢関係で上と下の関係にしてしまう」みたいなのは明代に特有の現象で、もともとアイデア自体はあったものの、そこまで常に徹底されていた視点ではない・・・ということも見えてくる。

まわりの国と平等的な関係を築いていた「China among equals」という時代もあったし、国内制度に関しても多元的に色んな制度が共存している状態がむしろ普通だったことも見えてくる。

まがりなりにも「中国」を名乗る以上は徹底的に東アジアの中心を一点化しなくてはならないという思い込み自体が、中国政府としてもちょっと重荷になっている構造はあるのかもしれない。ある程度多元性を認めても、果てしなくバラバラになってしまわないような文脈を東アジア人全体で用意していければ、中国政府が香港人とかに「適切な程度の妥協」をできるような仕切りになっていくことは、むしろ中国人のためにもなるんじゃないか?というようなことを思いました。

この「中華思想自体をアカデミックな視点から相対化して、あたらしい”東アジア人の本能的な中心”を、東アジア人みんなの協力関係で作っていく」みたいな視点から問題解決を図る話については、来年5月に出る私の新刊から分量の問題でカットされた話を公開しているので、ぜひお読みいただきたいと思います↓。

日本は、中国、韓国よりも欧州に近いという歴史学の視点があるらしい

ともあれ、この「中華思想の学問的相対化」という話はそう簡単なことではないので、今回以降なんどかブログ記事にして扱いたいと思っています。私は結構日本の中国ウォッチャーの本を読むのが好きなんですが、そういう人たちがそれぞれ持っている視点と、こういう「中華思想のアカデミックな相対化」の視点からあたらしい着地点を見いだせないか…みたいな話をしたいと思っています。

それはそれとして、この本は結構色んな「普通に現代の日中関係を考えていたら思いつかない視点」を教えてくれたんですが、その中に「日本は、歴史学的に中韓より欧州に近い」という視点があるっていう話が面白かったです。

もちろん、学会のあらゆる場所で定説になってるってほどじゃあないでしょうけど、一定の支持を得ている説らしい。

と、言うのも、世界史の大きな流れ的に「モンゴル帝国」というのが本当に大きな存在だったみたいなんですね。東西を密接な「商業的関係」で結びつけてすべてを「商業化」してしまう猛烈な嵐みたいなものだった。

モンゴル帝国時代にはちゃんと兌換紙幣が流通するように政府が銀の準備金を用意していたり、塩の専売権の証書が有価証券としてそれ自体高値で取引され、首都からかなり遠い地域でも発掘されたりするらしい。

そういう

「すべてが商業化されるモンゴル帝国の暴風」に対して、「外側」にいた日本と欧州という共通点

は無視できないんじゃないかという視点があるらしい。日本も欧州もモンゴル帝国の征服が直前で止まった地域・・・ですからね。

すべてを商業化するモンゴル帝国のウチとソト

よく、資本主義の源泉としての「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」みたいな話の中で、「商業主義」って言う意味では中国はメチャクチャ商業化された地域だったのに、なぜ資本主義は欧州から生まれたのか…みたいな話があるじゃないですか。

それが、「モンゴル帝国的完全な商業化の嵐」の「外側」にあった歴史的経緯とちょっと関係あるのかも?と読んでいて思いました。

明代の中国は、商業化に対して「政権」の対応が追いつかなくて、もうグリップを完全に手放してしまった感じらしいんですね。兌換紙幣を作ることも諦め、だから民間では勝手に銀で決済するようになり、そのために世界中から銀を輸入しまくったりすることになった。

日本における「大阪中心の商業資本」と「江戸幕府」って結構似たような緊張関係ありましたけど、日本の場合は「政府」がグリップを手放さずに最後までなんとかしようとしてましたよね。そういうところに、「ちがい」を感じるというのは、結構なるほどな、と読んでいて思いました。

日本の思想家吉本隆明が、「ぼくが倒れたらひとつの直接性が倒れる」っていう、妙にカッコいい言葉を残しましたけど、そういう感覚の中に、「モンゴル帝国の外」に残った文化みたいなのがあって、中韓でも日本の文化好きな人は、「そういう領域」を共有したいと思っているんじゃないかという感覚があります。

商業主義の徹底化が「個人の体感」を徹底的に「部品」化してしまい、序列とかお金とか観念的な正義とかが絶対化されてしまう状況に対する抵抗心が、日本の文化と共鳴するタイプの人の中にはあるのかも?逆に、

そういう「個人の体感の直接性」みたいなのを徹底的に商業主義で飲み込んでしまいたいタイプの人が、中国・韓国的な「仕切り方」とグローバル資本主義の連動性の中で社会全体を飲み込んでしまおうとしている

みたいなこと、あるかも?と思いました。

そういう視点から、「中華思想への自縄自縛」を、東アジア人全体で共有して解決していくムーブメントを考えていく時に、日本人がわからできること?について今後何回かのブログで考えてみたいと思っています。

最後に

「議論と言う名の罵り合い」の時代をおえて、「本当に問題を解決するための対話」の時代をはじめましょう。

そのための私の5年ぶりの新刊、

「みんなで豊かになる社会」はどうすれば実現するのか?

が、来年1月にディスカバー21社から出ます。長く時間をかけただけがあって、本当に自分の「すべて」を出し切れた本になったと思っています。

現在、noteで先行公開しており、無料部分だけでもかなり概要がつかめるようになっていますので、この記事に共感された方はその無料部分だけでもお読みいただければと思っています。

同時に、その話をさらに推し進めたところから、日韓関係をはじめとする東アジアの未来の平和はこの視点からしかありえない…と私は考えている提言については、以下をどうぞ。

21世紀の東アジアの平和のためのメタ正義的解決法について

それではまた、次の記事でお会いしましょう。

孫さんは「日本は後進国」と言いますが…

週刊現代

2019/09/30

 

消費増税のうえ、医療費・介護費の負担増が見込まれる日本。一方で、過去最高売り上げのソフトバンクは1円も法人税を払っていない。金持ちだけがより儲かるこの国、いくらなんでもおかしくないか。

社内で株を回し租税回避

「日本はAIにおける開発分野で、完全に後進国になってしまった。このまま目覚めないと、やばいことになる」――。

ソフトバンクG(グループ)主催のイベント「ソフトバンクワールド2019」(718日)で、基調講演に登壇した孫正義氏は、こう言って嘆いてみせた。

AIや自動運転など最新の技術がテーマとなったこの講演。「日本企業の戦略は焼き直しばかり」「衰退産業にしがみついている」と厳しい発言が増えている近ごろの孫氏だが、この日も冒頭のように、日本経済の現状を辛辣な言葉で一刀両断。テクノロジーについては「日本は後進国」と言い切った。

ソフトバンクG'16年には英半導体大手アーム社を3.3兆円で買収、'18年には主幹事業であった携帯キャリア事業を子会社化した。こうした流れの中でいま、孫氏がもっとも注力しているのは、SVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)なる投資事業だ。

単なる通信サービス企業から、日本最大規模の10兆円を運用する投資ファンドへと変貌を遂げようとしている。

孫氏は同講演で次のようにも語っている。

「『孫さんは日本の会社にちっとも投資していない。何か思いがあるのか』とよく聞かれる。悲しいことに、日本には世界でナンバー1といえるユニコーン(創業10年以内、評価額10億ドル以上の未上場企業)が少ないのが現実で、投資したくても投資できない」

もはや日本には、投資する価値がある企業がないとすら言う孫氏。カリスマの言葉に同調し、にわかに国内産業の未来を憂い始める向きもあるようだが、それ以前に、私たちが知っておくべき事実がある。

ソフトバンクは国内の投資云々以前に、もっとも大切なおカネを日本に払っていない。それは、莫大な利益に対する「法人税」である。

20183月期の決算で、ソフトバンクGの売上高は約91587億円の過去最高額、純利益は1390億円を計上していた。ところが、これほど儲けている企業が、日本の国税に納めた法人税は、なんと「ゼロ」。実質的に1円も払っていないというのだ。

単純計算はできないが、本来であれば1000億円単位の法人税を国に納めていてもおかしくないはずのソフトバンク。孫氏は合法的な「租税回避」を計画し、国税の手を逃れたのだ。

「ポイントになるのは、'16年に買収したアーム社の株式です。ソフトバンクGはこの株式の一部を、グループ内のSVFに移管しました。

この移管で会社側に損失があるわけではないのですが、税務上の処理ではアーム社株の時価評価額が取得価格を1.4兆円下回り、同額の『欠損金』が生じたという計算がなされた。

その結果、ソフトバンクG'183月期決算は税務上、1兆円超の黒字が消えたうえ、赤字扱いになったのです」(税理士の奥村眞吾氏)

 

開き直った孫さん

東京国税局は欠損金のうち4000億円は'183月期に計上できないと指摘し、ソフトバンクGもこれに応じて修正申告している。それでも、1.4兆円という欠損金の処理額があまりにも大きく、追徴課税は生じなかった。

簡単に言えば、買収した企業の株を社内で売り買いして作った損を計上して、課税利益を作らないようにしている。法の抜け道を利用する形で、公表利益と税務利益がかけ離れた、数字の「マジック」を作り上げたのだ。

「かつて日本IBMが米国の親会社との事業再編における株取引で損を発生させ、法人税の圧縮を目論んだのではないかと国税が指摘し、裁判に発展したことがありました。'16年に判決が出たこの裁判は、IBMの勝訴でした。

今回のソフトバンクGの件のスキームや国税の調査の詳細はわかりませんが、IBM事件のような判例から、海外企業との株取引をうまく使えば節税になるのではないかと判断した可能性があります」(公認会計士で税理士の深見浩一郎氏)

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国税の修正申告にも応じたうえで法人税がゼロというのだから、ソフトバンク側からすればむしろ「適法」のお墨付きをもらった格好になる。

こうした結果を見込んでか、今年619日のソフトバンクG株主総会で孫氏は、開き直ったかのような発言をしている。

「世界の投資家は世界のルールのなかで色々な節税を合法的にやっている。合法的な範囲のなかである程度節税を図っていく」

ソフトバンクは租税回避の「前歴」がある。'13年に米携帯電話大手スプリント社、'14年に米携帯卸売り大手ブライトスター社を買収した後、2社の売り上げに関してタックスヘイブンで知られるバミューダ諸島を経由させ、税負担を軽くして利益を増やそうとした。

'13年~'16年の4年間で、申告漏れと指摘された金額は約939億円。もしこれが「違法」とみなされていれば、とんでもない金額のごまかしとして糾弾されるところだった。

だが、国税は「意図的な税逃れではない」と判断。ペナルティーである重加算税は課されなかったのだ。この国は税金を納めなくても怒られない。そう、孫氏は味を占めていることだろう。

こうした孫氏の手法について、経済学者の野口悠紀雄氏は大きなため息をつく。

「今回の件のアーム社株は非上場株で、しかも子会社への売却です。ソフトバンクGが算出した時価評価額が適正なものかどうか、客観的に知ることは私たちにはできません。

ですから、国税がこれを正しく評価し、きちんと追及できたのか疑問が残ります。

法律的に見れば問題はないのかもしれませんが、日本を代表する企業が、世間一般から疑いの目をかけられるような税金の処理を行うのはいかがなものか、と思います。

携帯会社としてのソフトバンクは消費者に商品を直接販売して利益を出している企業ですから、信頼を失っては大問題です。信頼を失うようなことはないと思っているのでしょうか」

税金ゼロということは、利用者がソフトバンクにいくら携帯料金を支払ったところで、医療費や介護費などに還元されるおカネは1円もないということだ。

税務署もどうかしている

「企業は社会の公器である」というのは、パナソニック創業者・松下幸之助の基本理念である。企業の利益ではなく社会の利益を追い求め、公共的責任を果たすことが、会社の役割であるという考え方だ。

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ソフトバンクは研究開発に投資し、社会に貢献していると言うかもしれない。たしかに、東日本大震災が発生した時にいち早く100億円の寄付を申し出たり、「孫正義育英財団」を設立して優秀な人材を発掘したり、「表向き」の社会貢献は積極的に進めているように見える。

だが、「税金を払う」という基本中の基本の義務を果たしていなければ、単なる宣伝活動にしか映らない。「日本は後進国になっている」と偉そうに言われても、「お前が言うな」という話だ。

サラリーマンや年金暮らしの高齢者でも、少しでも生活を楽にするために、税負担を軽くするためのさまざまな控除を利用したり、相続対策を講じる人は多いだろう。

こうした個人のささやかな税金対策に関して、税務署は血眼になって調査する。少しでも税金を納めずにいると、督促状が届き、延滞金が加算され、場合によっては問答無用で金品を差し押さえられるなど、徹底的な追及を受けてしまう。

その一方で、明らかに「税逃れ」している大企業がなんのお叱りもないのは、いったいどういうことなのか。

ソフトバンクGは、あくまで表向きは過去最高売り上げだ。そのため、役員報酬や株主配当は高くなる。

孫氏のCEOとしての年間報酬は22900万円で、企業規模から考えると控えめと言えるが、自身でソフトバンクG株を23000万株以上保有している。

ざっくり計算すれば、年間100億円以上の配当が受けられるうえ、その配当収入も「キャピタルゲイン課税」の扱いになり、給料や事業収入にかかる所得税の半分程度で済んでしまう。

要するに、ソフトバンクが税を圧縮して株価を維持していれば、孫氏の懐に大金が転がり込む仕組みになっているのだ。

孫氏だけではなく、ソフトバンクG株を保有する大口の個人投資家やヘッジファンドも同じように、同社が節税すればするほど懐に入ってくる額が大きくなる。そのため、株主総会で同社の節税スキームに異を唱える者が出ることもない。

これじゃ日本が終わるよ

一方で、市井の一般国民や高齢者はどうだろうか。いくばくかの貯金をやりくりして暮らす高齢者は、国から言われるままに税金を吸い上げられる。かといって、少しでも稼ぎを増やそうと働きに出ると、様々な控除を外され、結果的に税負担増になる。

それどころか、政府や財務省は仕方のないことだと言わんばかりに高齢者の負担増を訴え、医療費や介護保険料の値上げが社会保障改革の指針に組み込まれている。

こうした幾重もの課税に加えて、今年10月には消費増税も控えているわけだ。元国税調査官の大村大次郎氏は言う。

「日本の法人税は世界的に高額と言われていますが、ありえないほど抜け穴が多く、タックスヘイブンレベルとさえ言うことができます。

『金持ちから1円の税金を取るのは、貧乏人から1万円を取るより難しい』と言ったりしますが、本来であれば消費増税をするよりも、こうした法人税の抜け穴をふさいでいくことで増収を見込むべきだと思います」

消費増税による家計への負担は4.6兆円と見られている。とてつもない金額だ。だが、'89年から導入された消費税の税収を私たちがこれまで享受してきたかと言えば、そういうわけではない。

立正大学法学部客員教授の浦野広明氏は言う。

「消費税が導入されてから、これまでに徴収された消費税収の累計は349兆円におよびます。

一方で政府は、法人3税(法人税、法人住民税、法人事業税)の優遇を進めてきました。この法人3税の減税額は'17年度までの累計で、実に281兆円にのぼるのです。

消費税は逆進性が高く、高齢者をはじめとする所得が高くない世帯のほうが、重い負担を強いられる税金といえます。

その消費税の8割近くを、法人税の減税で食いつぶしてしまった。税制的には、大資本を持った企業であればあるほど有利な状況で、むしろ格差を容認する仕組みを政府は作っているとさえ思えます」

こうした我が国の現状は、はっきり言って「異常」だ。タックスヘイブンの活用や租税回避は外国で横行しているイメージがあるが、実際には違う。日本だけが、ソフトバンクのような大企業の「税逃れ」に対して見て見ぬふりをしている。

前出・奥村氏は次のように言う。

G20会議では近年、『低税率国や租税回避地を利用した脱税に近い方法は、企業のモラルとして禁止しなければならない』と決議しています。

また、ジェフ・ベゾス氏がCEOを務める米アマゾンも税逃れの常習犯で有名ですが、トランプ大統領がベゾス氏を名指しで批判し、苦言を呈したこともありました。

こうしたことを鑑みると、世界では法人の税逃れに否定的な風潮に向かっていると言えます。そのなかで、意図的に租税回避を行っている孫氏のやり方は、もっと日本で取り沙汰されてもおかしくないと思います」

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なけなしの年金から安くない携帯料金を、ソフトバンクに払っている人もいるだろう。そうして得た儲けは、すべて彼らの懐に入り、税金として世の中に還元されることはない。

重税にあえぐ庶民から、さらにカネを吸い上げるだけの企業ばかりになったら、それこそ日本は終わりだ。

「週刊現代」2019914日・21日合併号より

毎日新聞

2019930

 小中学校に通う年齢の外国籍の子どもが、実際に通学しているかどうかについて、文部科学省は全国の市区町村を対象に初めて実施した調査の結果を発表した。

 不就学の可能性がある子どもは、住民登録する同年代の17%に当たる2万1701人に上った。不就学が確認されたのは1000人だった。早急な実態把握が必要だ。

 1990年の入管法改正で日系3世に「定住者」の在留資格が認められて南米からの移住者が急増した。近年は中国やベトナムなどアジアの人々が増加している。そうした中で不就学の問題が浮上してきた。

 一部の自治体は対策を進めてきた。製造業が盛んで外国人の多い岐阜県可児市は16年前から外国籍の子どもがいる世帯の訪問調査を続け、日本語教育にも取り組んでいる。

 一方で、文科省の調査では、就学状況を把握する取り組みに関して「特に実施していない」と答えた自治体が65%もあった。住む自治体によって、就学環境が異なる現状はおかしい。

 不就学の問題を自治体任せにしてきた国は、今年に入ってようやく文科省内のチームで検討を始めた。3月に都道府県と政令市に就学促進を求める通知を出し、6月にはチームが就学状況の把握や日本語教育強化を盛り込んだ報告書をまとめた。ただ、遅すぎたといわざるを得ない。

 学校での教育は日本で暮らしていくための出発点となる。教育を受けられなければ就職先も限られ、社会で孤立する懸念もある。

 外国人は、憲法が定める教育の義務や権利の対象外ではある。しかし、日本も批准した国際人権規約は「教育についてのすべての者の権利を認める」と記している。

 文科省は、今回の調査をもとに就学促進に向けた課題を明確にし、有識者会議の議論も踏まえ、具体的な施策を検討するという。

 今年4月に施行された改正入管法で、外国人労働者の受け入れが拡大された。日本で働く外国人が増加していけば、将来、外国籍の子どももさらに増えていくと見込まれる。

 国主導で直ちに不就学児の解消策を講じるべきだ。もちろん、日本語教育の充実など、受け入れる学校側の態勢整備も求められる。

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